2連勝を狙った前節では、ほとんどチャンスを作れずに敗れたレノファ山口FC。
3連戦のラストとなる第13節はアウェーでツエーゲン金沢と対戦しました。
スタメン
金沢は前節から4人変更。ボランチに入った本塚聖也は今季初スタメンとなりました。一方の山口は半数以上となる6人を変更。3バックにしてからは高木大輔が左サイド、澤井直人が右サイドでプレーすることが多かったですが、この試合では高木が右ウイングバック、澤井が左ウイングバックに入りました。
スタッツ
試合は、早い時間に先制した山口がその1点を守り抜き勝利。今季6度目のクリーンシートを達成しました。
スタッツを見ると、シュート数はお互いに1桁。枠内シュート数やパス成功数、ボール支配率などはわずかに金沢が上回る結果となっています。
山口はこれまで金沢相手に10戦勝ちなしという状況でしたが、ついに初勝利!しかもアウェーでの勝利ということで、普段よりも喜びの大きい勝ち点3となりました。
山口は「この試合最初」そして「ゴール期待値が全9本のうち最も高かった」シュートを梅木翼が決め、先制しました。前節まで8得点とリーグ最下位の得点数だっただけに、「最初のビッグチャンス」をゴールに結びつけられたことは価値が大きかったと思います。
前半だけで0.8以上のゴール期待値を記録した山口は、最終的に1.3まで上積み。2点目を取れればベストでしたが、金沢のゴール期待値を半分未満の0.64に抑え、しっかりと無失点で終えたことは素晴らしかったと思います。
ボランチの飛び出し
先制点のシーンでもそうでしたが、この試合では山口のボランチが積極的に前線へ顔を出す動きが何度かありました。
下の時間帯別パスネットワーク図でボランチを務めた神垣陸(26番)と田中陸(29番)の位置を見てみましょう。
15分ごとに区切られた6つの時間帯の中で特に着目していただきたい部分として、
- 前半30分 - 前半45分:神垣(26番)の位置が池上丈二(10番)や高井和馬(46番)よりも高い
- 後半 0分 - 後半15分:田中(29番)の位置が池上(10番)や梅木(24番)とほぼ同じ高さ
- 後半15分 - 後半30分:神垣(26番)が全選手の中で最も高い位置
の3つがあります。いずれの時間帯でも、ボランチのどちらかが前線の選手と同じくらい高い位置でパスに関与していることがデータから分かります。
また、前半0分 - 前半15分に関しては両選手の位置はともにセンターサークル内ですが、他の時間帯よりも多くの矢印が存在している、すなわちパスの機会が多かったことで平均的なポジションが中央になっているのだと思います。特に田中は5分の先制点のシーンでは、ペナルティエリア内へ飛び出してアシストとなるラストパスを梅木へ送っていますし、12分にも右サイドへ飛び出して深い位置からクロスを供給していました。下のヒートマップにおいて相手ゴールラインに近い2点がそれぞれ5分と12分のシーンでクロスを上げた位置です。
どちらのシーンもマンマーク気味にくる金沢のサイドバックを山口のウイングバックが引きつけ、サイドバックが空けたスペースに田中が飛び出してパスを受けるという形でした。金沢はボランチのカバーが間に合っておらず、田中の飛び出しは非常に効果的な動きでした。
また、神垣のヒートマップにも敵陣のペナルティエリア近辺でのボールタッチ位置が複数見られます。35分にはサイドに流れた池上が相手のボランチをつり出したことによって生まれたスペースに飛び出し、シュートを放つ場面もありました。
ヒートマップを見ると、両選手ともにサイドの偏りがなく、どちらのサイドでも高い位置へ出ていく場面があったことが分かります。ボランチのどちらが飛び出してくるのかだけでなく、どちらのサイドへ飛び出してくるのかも考えなければならないため、金沢としては対応が難しかったと思います。
前線の選手の貢献
また、ボランチの2選手だけでなく前線の選手も勝ち点3に大きく貢献したと思います。
特に、J初ゴールを決めた梅木翼は得点という最も大きな部分でスタメン起用に応えました。田中からのクロスに対し、ワントラップで相手の逆をついて、左足でズドン!利き足とは逆の足でゴール左上にシュートを突き刺し、「最初のビッグチャンス」をモノにしてくれました。
梅木は66分間の出場でしたが、チームの半分近い4本のシュートを記録。また、ペナルティエリア内でのボールタッチ数も多く、ゴールに近い位置でプレーすることができていました。スタメンは未だ2試合と少ないですが、この得点をきっかけに出場時間とゴール数を増やしていってほしいです。
また、梅木の相方を務めた高井も得点こそありませんでしたが、先制点の場面では飛び出した田中へ正確なパスを供給しチャンスを演出。パス成功率も前線の選手としては高い数字を残しています。決してつくりの部分に関わっていただけではなく、シュートを2本放ち、2本とも枠内へ。33分には田中とのワンツーで相手の背後をとり、惜しいシュートを放つなど、ゴールへ向かう動きも見せていました。
さらに、高井は終盤まで守備でも走っており、全くサボる場面は見られませんでした。途中から2トップに入った小松蓮や浮田健誠もボールを奪い取って金沢の攻撃時間を減らすなど、前線の選手が攻撃だけでなく守備でも貢献していました。その結果、試合終盤は1本もシュートを打たせず。後ろの選手たちへの負担を軽くしていたと思います。
最後に
2度目の3連戦は2勝1敗。アウェーで2勝できたことは非常に大きいと思います。次節は現在2連敗中のホームゲーム。是が非でも勝って、今季初の連勝を達成してほしいです。
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2021/5/16 00:19
10試合で2分8敗は相当なレベルの悪相性ですが、それをアウェーで打ち破ったのは凄い!😲
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サンレノファン
2021/5/17 11:22
SPORTERIAスタッフさん、コメントありがとうございます!
ファーストチャンスをしっかり決めた梅木選手もお見事でしたね👏
相性最悪の金沢相手にアウェーで勝ち点3を取れたのは自信になりますよね。
梅木にはここからたくさんゴールを決めてほしいです。