サガン鳥栖 対 アビスパ福岡

0ー0


やっぱり攻めてたサガン鳥栖

基本スタッツ


対サガン鳥栖で守りを固めた福岡。

対策をされたときに上回る力があるかどうか。

それでもカウンターも受けず、耐え切った事は大きい。

6試合連続無失点は「気にしてない」と言いながらも偉業!


先発は怪我の松岡に変えて島川。

林から本田。

前半からお互いに膠着する。

福岡は三國、山岸ら強いFWに目掛けて早めに蹴ってくる。

そこを中盤も押し上げて回収しての攻撃。

ちょっと鳥栖は苦しんだ。

強く高いFW1枚ではなく、2枚で当ててきたのは厄介だった。


そして、後ろは守備4枚が絶対釣られない。

鳥栖の左サイドぐるぐる攻撃もこんな風に「待機」で守備した。

仙頭が引いたら重廣がどこまで追う。

小屋松が中に絞ったら、金森も含めて引いてくる。

このSHのタスクの多さが福岡の守備のポイントだった。

そうすることでSBをつられない。

つまり中野の前が開かない。


膠着しつつ、福岡のプレスにいつもの落ち着きが見られない鳥栖。

それでも活路を見出したのは仙頭、樋口らの技術だった。

左はピン留めされてるなかで、左にスライドさせて、SHの石津を樋口が吊り出して、飯野をサイドに走らせる。

輪湖との1対1をあえて作らせることでチャンスを作った。

前半飯野がこの状態から山下を使って中にカットインしたシーンは後半の布石となっただろう。

前半シュートが少なかったのは、山下のフォロー役として本田がやや後ろに重たかったから。

島川のビルドアップを手伝いに、樋口、♨︎も下がるなかで、本田もややトップ下として動く。

そうするとゴール前が山下一人となり、少しシュートまでの形が薄かった。


後半、より左から中央で作って右を空ける鳥栖の攻撃がはまる。

極め付けは飯野への浮かしたパスに、ダイレクトでアウトサイドクロス!

ここに飛び込んだのは本田!


明確に右から崩す形と、本田がもう少し中でプレーする、という意図が体現されたシーンだった。

それにしてもこの日の飯野は秀逸だった。

前半は守備でスピードを生かして対峙し、後半はまさに攻めの決め手となった。


しかし、残念ながらこのシーンはオフサイドとなった。

かなり際どいシーンだったが、OFRがないのは、オフサイドって事実だから。

VAR室で見る以上の情報は得られないので、VARがオフサイドというならそうだし、明確に違う!と言えないのであれば現場の意見が尊重される。

微妙な場面ではあったが狙った崩しが出来たことは良いシーンだった。


しかしここから福岡はFWを一枚減らしてボールを持つことを放棄する。

カウンターで1、2回チャンスは作れたものの、まずは守備、という意識をはっきする。

さらに、タスクが多すぎたSHの疲労からそこを交代で補強。

鳥栖も林や石井を投入する。

鳥栖は後半はほぼ3バックの形。

しかも島川が中央という形が多かった。


林は何度か強さを見せるものの、グローリとの対決は5分。

ほかのところで明確に上回れたシーンは少なく、試合は0−0で終了。


6試合無失点という偉大な記録とともに、

固められた時にどう崩すか?という課題は残った。




選手評

極上

島川 松岡の負傷の中で遜色ない攻守の要として機能。

序盤は不安もあったが、次第にフィット。

後半は攻めの1歩目のパスを狭い位置でもバンバン通し、守ってはカウンターを止め続けた。

飯野 左サイドが封じられる中、右サイドを蹂躙した。

本田のゴールにつながるダイレクトのアウトサイドクロスは鳥肌もの。

素晴らしい突破と、間違えのない守備で右サイドを支配した。

本当に素晴らしい試合をした。

試合ごとに成長する姿を見せてくれている。

良い

樋口 難しい試合の中で左右への長いボールを使い始めてゲームを支配した。

相手の穴をつく判断力、両足でプレーできる利点を生かしたキープからのサイドチェンジ、攻撃の起点となり続けた。

ソッコ 判断を間違えていれば失点というシーンもあった中、90分通してしっかりと集中し、守り切った。彼が居たからこその無失点であった。

仙頭 樋口とともにゲームの流れを決めるパスを出し続けた。

惜しむらくは最前線でのプレーが少なかったことか。

しかし後方からのゲームメイク、前方でのキーパスと彼の貢献は素晴らしい。

本田 途中から取られないドリブルの強さを生かしてチャンスを演出。

消えかかっていた中でしっかりと存在感を発揮した。

あのゴールは決まっていればMVPだっただろう。

交代はしたものの良い試合をしたと言える。

及第点

エドゥアルド カウンターの機会は数える程。

しかしその数回を確実に潰した。

パギ 守備の仕事量は少ないもののどれもミスなく処理。

攻撃でも際どいパスを何個も通す。

まさにパギありきのパス回しだった。

中野 後半はさすがに疲れも見えたが、何度も起点となってプレー。

左から崩せないと見るや、やや中央をフォローし、偽SBとしてもプレー。

試合の流れに応じていくらでもプレーを変えれる強みを発揮した。

小屋松 最後の仕掛けのところで違いを出しきれなかった。

組み立てのフォローや仙頭とのコンビは良かったが、本田がやや下がってプレーする中、山下の裏とかFWの前まで飛び出すプレーも見たかった。

このメンバーでは前線の中央が1枚足りなくなりがちなので、点を取る意識があれば、と感じた。

★林 前線での強さを見せたものの、シュートにいく形の前でグローリに潰された。もう1枚フォローがあれば、と思うが、激しい試合のなかでよく戦った。

★大畑 時間短く。

がんばれ!

山下 中央で受けていい動きを見せた。ポストでの貢献も素晴らしかった。

ただし、こういう試合で純FWとしての出場であれば得点に絡む動きが欲しかった。苦しい試合でしっかりと貢献してくれたのだが、この試合に勝てなかった理由としては、やはりFWのシュートへの形、ということになる。

★石井 山下同様、シュートへの違いを作る動きを求められたものの、激しい試合のなかで違いは作り出せず。

悔しい試合が続くが、特徴は持っている選手なので、次を期待したい。

鳥栖に対して、SHも下げての5バック気味、またSBは絶対釣られない。

そういう守備の原則を90分守った福岡の集中力も素晴らしかった。

その中でも右サイドの飯野を生かした新しい崩しも見せた鳥栖だが、

FWが1枚足りなかったか。

山下残して林を見たかった気もするし、

こういう試合になったなら、酒井、林という2トップも良かったかもしれない。

山岸、三國という面倒なFWを軸に押し下げられガチなDFラインもしっかりとキープし、連戦の疲労もあるなか、しっかりと無失点で終えたことは評価したい。

逆に決め切るFWがいなければやはり引き分けてしまう。

林、山下以外の得点パターン、得点源が出てくることを願う。

また、こうやって鳥栖対策をしてくるチームは出てくるだろう。

ボール持つことを放棄してもサッカーは勝てる可能性はある。

福岡のカウンターも可能性はあった。

それを全て防いだ鳥栖も素晴らしいし、

福岡にそうさせた鳥栖の攻撃も脅威だったのだろう。

激しい九州ダービー。

あと1手足りなかった。

そういう印象のダービーとなった。

最後に

両サポーターの間に色々あるのはわかる。

この試合でも声出しやマスクや色々な問題があったのかもしれない。

どこのグループにも残念な人と、そうでない人がいる。

しっかりとマナーを守ることが、

僕らが安心してスタジアムに行ける、

そしていつかチャントを歌える日が戻ってくる条件になるのだ。

しっかりと頑張っていこう。