この試合のレビューを書くのは、筆が重い。
なので結論から書く。
ここまで、37試合で43失点と手堅いサッカーをしてきた。
その結果、6失点をしても得失点差(-21)では岩手(-37)や琉球(-24)よりも有利な立ち位置にいる。
だから、残留争いという視点でみれば、実質1-2の敗戦と変わらないと捉えることもできる。
惨敗を反省する必要はあるが、時期も時期だし思い切って切り替える方がよさそうだ。
大槻監督の流儀「結果を出した選手を使う」
さて、結論を書いたところでレビューをしていく。
意外だったのが、スタメンは秋田戦から11人変更なしという点だ。
ベンチ・ベンチ外の選手にコンディションの問題があるのかもしれないが、秋田戦で求められた戦術を遂行した選手を評価しての継続起用と思われる。
大槻監督は天皇杯などで勝利に貢献した選手は何らかの形で起用し、チームの約束事を守れなかった(と想定される)選手は容赦なく外す傾向にある。
「結果を出せば使ってもらえる」というのはプロ選手としてモチベーションをあげやすい環境であるし、約束事を重視するのは育成年代に長く携わり教育者としての顔を持つ大槻監督らしいと感じる。
※大槻監督というと「組長」の印象が強いかもしれないが、選手と関わり方は厳しくも優しい体育の先生のようで、とても微笑ましい
乱れるラインコントロール
だが、この試合はそんな教育者としての流儀が裏目に出た。
秋田戦でラインを低く設定し成功体験をしてしまったからか、川上藤井が自身の強みを発揮するために引く癖があるからか、ペナルティアーク付近のスペースを山口に自由に使われる結果となった。
1失点目は、橋本の動きにつられラインが下がり、降りた高井にフリーでボールを握らせてしまった。
2失点目は、高井吉岡の動きにあわせてDFラインがズルズルと下がり、池上がPA前で前向きでボールを触る機会を与えてしまった。
3失点目は、高井の実に見事なボレーであったが、前貴之がクロスをあげる前にラインを押し上げる努力を怠った。
ラインを下げていなければ、1,2失点目はCBが前に出てケアできるはずだし、3失点目は高井をオフサイドにすることが十分に可能だったはずだ。
逆にラインを下げる前提でいくならば、それこそ秋田のように全員がPA内に帰るくらいのコンパクトさが求められた。
ではどうして、ラインコントロールに失敗したのだろうか。
思うに、川上藤井と細貝岩上の間で大きな認識の違いがあったのではないかと推測している。
この試合群馬は序盤からハイプレスをしかけ、山口のパスを引っ掛ける狙いをもってのぞんだ。細貝岩上は相手ボランチにプレスに行くことも多く、それにあわせて川上藤井も勇気をもってラインを高く保つ必要あった。
前から奪いに行きたい細貝岩上と、裏をケアしたい川上藤井の間でミスマッチが生まれているように思われた。
実は失点の1つ前のシーン(11分30秒ごろ)で川上がクリアをした時に、細貝がジェスチャーをしながらDFラインに激を飛ばしている。
声出し応援のため明瞭には聞き取れなかったものの、何かDFラインとの間で意思疎通できていない部分があったのだろうと感じられる1シーンであった。
さて、惨敗に終わった山口戦をラインコントロールに注目して振り返ってみた。
秋田戦でラインをさげて成功してしまったからこそ、この試合が難しくしまったように思われた。
「結果を出した選手を使う」のは大事なことであるが、成功体験に引きずられたり、相手の特長と異なる選手起用になってしまうのも考えものである。
ここで惨敗したからこそ、思いっきりリセットして次節に挑めることを期待したい。
コメント(1)
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SPORTERIAスタッフ
2022/9/30 19:57
・1つの成功体験が次の成功を約束してくれるわけではない
・人間の心理として(分かっていても)過去の成功体験に倣ってしまう
というのは特に勝負事では難しいところですよね。
逆に、動いて失敗すると(本質的には正しい選択だったとしても)
「勝っているチームは動かすな」と言われてしまったり…💦
結局のところ、どこを"ブレない"部分に設定するかということでしょうか。
そういう意味では、
>時期も時期だし思い切って切り替える方がよさそうだ。
と思います!