Jリーグも開幕して1ヶ月が経過した。私が応援しているザスパクサツ群馬は4試合目にして、ようやく初勝利。1勝2分1敗と五分の成績になっている。
昨年のスタートダッシュと比べると物足りなく感じてしまうが、それでも、昨年度の欠点を克服しようと工夫はうかがえる。
この記事では、今年のザスパの変化をあげ、なかでも驚異的なスタッツを見せている選手を紹介していく。
仙台戦のプレビューというよりは、開幕1ヶ月のザスパをまとめる記事になることをご理解いただきたい。
PAエリア内の人数を増やせ
昨年は42試合で36得点と、1試合平均1点を下回ったザスパ。今年の課題は間違いなく得点増加にある。攻撃時に3421のポジションをとり、左シャドーが降りてきてボールを運ぶことが多かった昨年。必然的にPA内の人数が減り、得点機会そのものが少なくなっていた。
昨年後半から試していて、今年成功率があがっているのが左サイドから対角のフィードだ。PA内侵入傾向の図でも長い直線が2本見えている。左サイドでビルドアップする際、高い位置を取った右WB岡本に向けてフィードが蹴られる。
1節ではボランチ同士のパス交換からフィードが送られた。この時、PA内には3名おり、岡本はシュート・ニアへのクロス・中央へのクロス・ファーへのクロスと潤沢な選択肢を選ぶことができた。
この対角へのフィードによるPA侵入をもっと増やせば、再現性のある決定機をたくさん作れるはずだ。
この他にも、PA内を攻略するために、新しいチーム戦術や個人戦術を試しているように思える。特徴的なスタッツを残している3人を紹介していこう。
川本梨誉:左サイドにとらわれない新たな境地
まず紹介するのは、攻撃時には左WBをこなす川本だ。川本はもともとはFWの選手で、昨年はストライカーとして期待されていた。つまり、FWからWBへコンバートされた。
一見、珍しいコンバートに思われるが、ヒートマップをみれば彼の役割が見えてくる。
上図のように川本は右サイドに流れることも多い。大外のレーンにこだわらず、ゴールに近い位置取りをしているように思われる。
また、空中戦の強さを買われ、ゴールキックやロングボールのターゲットになることもある。
スタート位置はWBであるが、試合の状況に応じてボールを保持・前進させる役割を担っているといえるだろう。
実際、直近の試合ではシュート3本(クロス0本)とFWのようなスタッツを記録している。
ゴールへの嗅覚に優れた川本だからこそできる役割に期待したい。
天笠泰輝:タックルの鬼、そしてシュート
次に紹介するのは、ボランチとして定位置を掴みつつある天笠だ。
天笠の魅力は、なんといっても球際の強さ。
1試合平均インターセプトは、リーグ8位。
1試合平均タックル数は、リーグ9位。
と鬼のごとくボールを奪いまくっている。
ちなみに隣には細貝萌がいる。この鉄壁ダブルボランチを突破できるクラブはそうそうないだろう。
参考:https://www.jleague.jp/player/1630190/#attack
さらに、攻撃力も抜群だ。ここ2試合では天笠のミドルシュートを起点に得点が生まれている。
岡本川本の両WBがPA内で躍動し、外からは天笠の一発がある。
攻撃の組み立ては非常に面白い。それが結果につながることを、サポーターとして祈るばかりだ。
長倉幹樹:神出鬼没にチャンスを作る
最後に紹介するのは、長倉だ。
昨シーズンの夏に加入し、たった6試合の出場でサポーターから絶大な信頼を勝ち得た長倉。ついに、J2全体にその名を轟かせる日がやってきた。
彼の魅力は、リーグ5位を記録しているチャンスクリエイト能力だ。
参考:https://www.jleague.jp/player/1632774/#attack
特に、ピッチに3人長倉がいるのではないかと思うくらい、どこにでも顔を出してくる。この神出鬼没さを真似できる選手はいないだろう。
直近2試合のヒートマップを見て欲しい。長倉の基本ポジションはどこだろうか?
正解は、守備時は442の2トップの左、攻撃時は3421の左シャドーだ。スタート位置は左なのに、右サイドでもボールに触りまくっている。実際のところ彼のポジションは、チャンスになる場所へならピッチ上のどこにでも行く係、なのだろう。
私個人としては、自陣でのタッチ回数が多い点が好きだ。組み立ての時に降りてくることはもちろん、自慢のスピードでプレースバックをしてボールを奪うことも多い。
圧巻だったのは、3節千葉戦の前半45分。
自陣PA前でこぼれ球を拾うと、相手ダブルボランチの間をヌルっとドリブルで抜ける。一気にトップスピードに入ったので、プレースバックする相手FWにタックルする機会すら与えない。待って止めようとする鈴木大輔を1人スルーパスでぶち抜くと、2対1の数的優位でカウンター!!
という場面だ。最後はタッチがずれてしまいフィニッシュまでは行けなかったが、前半終了間際に異次元の爆走を披露し、自身のプレースバックから戦局を変えてしまった。彼の名が、J2全体、いや、日本サッカー界全体に知れ渡る日もそう遠くないだろう。そう確信したシーンだった。
以上、今回はザスパの開幕1ヶ月を振り返っていた。スタートダッシュは切れなかったものの、昨年の堅守をベースに新しいチャレンジをしていることが示せたと思う。
この工夫や努力の先に、花咲く春が待っているのだろうか。期待が高まるばかりである。
コメント(1)
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SPORTERIAスタッフ
2023/3/19 13:19
堅守をベースに得点力を高めていく、そのためにPA進入回数をどう増やすか🤔
個人的には
・より高い位置でボール奪取をする
・攻撃の後に跳ね返したボールを回収して2次攻撃に繋げる
シーンを多く見られるようになることを期待しています💡