どうもさかりーにょです。
その潤沢な資金力とJ1クラスのスタジアムから毎年のように昇格を期待されながら望み通りの結果を残すことができないでいるAC長野パルセイロ。
そんなパルセイロは2022シーズンに若手ながらその類まれな「サッカー整理能力」、「言語化能力」、「落とし込み技術」の高さに定評のあるシュタルフ悠紀リヒャルト監督を招聘。
就任会見で「タイトルを取りに来た」という言葉通り見事にJ3開幕戦で北九州相手に勝利を収めて見せた。
今回は、そんなシュタルフ悠紀監督の戦術をJ3開幕戦の北九州戦を通して分析していく。
※試合を見てない方はこちらでハイライトをご覧ください。
2022J3リーグ第1節 ギラブァンツ北九州vs AC長野パルセイロ。
スタメン、スタッツ、マッチアップは下図の通り。
AC長野パルセイロのプレーモデル
“サポーターもプレーヤーも楽しいと感じるサッカー”
シュタルフ悠紀監督はこの哲学をベースに「スピーディーに相手ボールを奪い、積極的に崩しにいく」という長野パルセイロ独自のプレーモデルを構築。
特にゴールシーンを増やすことをテーマに掲げ、「ボールの主導権を握って動かす」サッカーを目指す。
特筆すべきはプレーモデルを実現するために自身で設定した「24の原則」である。
この24に渡る攻守の決め事をチームに落とし込んだ成果がJ3初戦でも随所に見受けられた。
局面①:攻撃
攻撃時のシステム
“サイド制圧”
「ミーティングで相手のクロス対応の弱点は共有できていた」とAC長野パルセイロのキャプテン水谷が語るように徹底した「ポケットへの侵入」をビルドアップのゴールに設定。
そこまでボールを運ぶために、
①両サイドバックを高い位置のワイドに張らせ、3トップが流動的にポケットへ流れてのチャンスメイク
②サイドからCFにくさびを打ち込み、サイドへ展開。サイドでの1VS1、2VS2、3VS3から局面を打開し、ポケットへ侵入。
➂WGが個の能力でサイドを突破してポケット侵入。
という3つのパターンを駆使しながらビルドアップのゴールであるポケット侵入を狙い続けた。
エリア別パス交換図からもサイドを起点にビルドアップしたことが伺える
事実、開幕戦の2得点は共にポケット侵入から生まれた得点であった。
局面②:ネガトラ
ボールを失った後の切り替えの意識が非常に高く、奪われた選手が即座に1stディフェンダーとしてボール奪取に向かうことがACパルセイロ式ネガトラの特徴。
ボールロスト位置からもサイドを起点にサッカーを展開していることが伺える
また、サイドを起点にして攻撃を組み立てるのでボールを失った後にダイレクトカウンターを受ける機会が少ないことも特徴の1つだ。
局面➂:守備
守備時のシステム
“ボールの取りどころをサイドに定めたゾーンディフェンス”
これがシュタルフ悠紀監督の守備時の大きな特徴。
特に最前線から襲い掛かるハイプレス時にその狙いがよくあらわれる。
GKを含めた5人の相手に対して原則3トップが連動して制限をかけていくが、この3人の距離が非常に近いだけでなく、背中でボランチへのパスコースを消しながらプレスをかけていくので迂回ルートがSBしかない状況を作り出す。
そして、連続したSBへのプレスでSHへのパスを誘発させ、SBでボールを刈り取るというシーンが非常に多く、計算しつくされたボール奪取であった。特に前線の3枚が常に首を振りながら①味方の位置②相手ボランチの位置を常に確認しながら制限していくハイプレスは非常に完成度が高く、今後多くのチームがその対策に苦戦する印象。
また、リードした終盤の展開ではDF秋山拓也を投入し「逃げ切りシステム」である5-4-1システムでゴール前のスペースを消し、勝利のために現実的な配置を採用することもシュタルフ悠紀監督の守備時の特徴でもある。
一方で、守備時の配置である3ラインの間にボールを配給され、前向きで攻撃を仕掛けられるシーンも散見された。「ライン間の制圧」はAC長野パルセイロ対策の至上命題であると言える。
局面④:ポジトラ
ボールを奪った瞬間に相手の背後が付ければカウンターを発動する。一方でサイドを起点にポケットへの侵入をメインのビルドアップタスクに設定しているために宮坂を中心にボールを保持し、サイドを3人一組の「ダイヤモンド」という共通言語で表現される崩しの形で突破していく。局面が詰まればボールを後方に戻し、 シュタルフ悠紀監督 に落とし込まれた丁寧な崩しをCBから行う。このCBを使った崩しのポイントは「運ぶドリブル」である。CBがドリブルで積極的にボールを前線に運び、数的優位の状況を作り出して相手を崩していくシーンはこの試合でも非常に効果的であった。
さかりーにょeyes『AC長野パルセイロ攻略法』
さて、そんな魅力あふれる超攻撃的サッカーを展開するシュタルフ悠紀監督のAC長野パルセイロだが攻略できるポイントは存在するとさかりーにょは分析。
具体的には、
攻撃面
・後方での5V3のビルドアップ時に「1つ飛ばし」のパスを用いてAC長野パルセイロFWのプレスのずれを誘発し、縦パスをボランチに入れる
・1ライン超えた浮き球をライン間に差し込む
・3人目の動きを多用してハイラインの背後を取る
守備面
・5バックでサイドのスペースを消す
・FWのプレスを徹底させ、CBがボールを前線にドリブルで運ぶことができないようにする
・サイドに守備力が高い選手を配置する
・相手がボールを奪って可変している瞬間を狙ったプレスを落とし込み、ショートカウンターを仕掛ける
コメント(1)
-
SPORTERIAスタッフ
2022/3/16 14:06
個人的には
>局面②:ネガトラ
の部分に注目していました!
>ボールロスト位置からもサイドを起点にサッカーを展開していることが伺える
に書かれているように、例えば51分のシーンや72分のシーンなど、サイドで2~3人で囲い込んでボール奪取してからのクロスボール攻撃が非常に効果的だったように感じます💡
あとは、ペナ横とポケットへのスルーパス&走り込みが多かったですね!
三田選手と森川選手が出し手としても受け手としても躍動している感じがしました🏃