2023のJ3で話題をさらっているSC相模原監督の戸田和幸氏。そんな戸田和幸監督が志向する「エナジーフットボール」の具体的な戦術内容を知りたいのですが・・・

どうもさかりーにょです。

本記事は2023J3リーグ第1節SC相模原 VS ガイナーレ鳥取の試合を基にこんな疑問を解決したいと思います!

本記事の信頼性

・年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」を開発

・JFA公認指導者ライセンスB級

・IFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了

・AEFCA公認マッチアナリストコース修了

2023J3リーグ第1節SC相模原 VS ガイナーレ鳥取

スタメン

スタッツ

噛み合わせ図

オーソドックスな4-4-2のガイナーレ鳥取に対して“4-4-2殺し”として4-4-2への相性抜群の3-4-2-1で挑むSC相模原。フィールドプレーヤーの8割が優位とそのかみ合わせ相性は上記「噛み合わせ図」を見れば一目瞭然だ。


局面①:SC相模原『攻撃分析』

“優先順位を背後に設定しながら状況判断しながら前進していく”

本試合では、明確なシステムの型はもたずに原則を基準に判断してくという戸田和幸監督の志向が攻撃面でみられるシーンが多くあったので以下の3つのポイントを挙げながら分析していく。

①WBで「横幅」を確保し、ボール保持時に時間的優位性を確保

②ダイナミックなダイアゴナルランでチャンスを創出

➂右サイドでオーバーロードができる仕組みを構築

①WBで「横幅」を確保し、ボール保持時に時間的優位性を確保

SC相模原は攻撃時に両WBがライン際に立つことでチームに幅をもたらす。特に後方からのビルドアップ時のプレス回避先、縦パスが封じられた時に効果を発揮し、このエリアでボールを受けることでチームに立ち位置を修正する時間を提供することに成功していた。

②ダイナミックなダイアゴナルランでチャンスを創出

SC相模原はゲームを通じて非常に多くのダイアゴナルランを遂行して相手の背後を狙い続けた。

特に、両IHが相手SBの背後にダイアゴナルに抜け出すシーンが多く見受けられ、ビルドアップの出口として非常に効果的であった。

また、2得点目の藤沼拓夢選手の得点時も大きな斜め動きでボールを引き出していた。

➂右サイドでオーバーロードができる仕組みを構築

SC相模原はGKビルドアップの際に右CBの加藤大育選手をWBまで上げる特殊な立ち位置を取る。

この可変により、右サイドはオーバーロードの状況となりボールを前進させやすい仕組みができあがる。また、後半には右WBの綿引康選手をIHに近い立ち位置に立たせることで相手SBが2枚を見なければならない状況を創り、完全に主導権を握った。右WBの綿引康は最前線にまで絡み、1得点目にはクロスに対して潰れ役となり特典を演出。彼が、あの時、あの場所にいたということが前半からの修正であり、戸田和幸監督の修正力の高さをうかがい知ることが出来る。

一方で、前半は相手2枚のFWに対して3枚でビルドアップをしているにも関わらずボールを前に運ぶことが出来なかった。2ボランチのポジショニングも含めて大きな課題であると言える。

局面②:SC相模原『ネガトラ分析』

SC相模原の課題の1つがネガトラ時にプレスに行くのか、リトリートするのかの判断基準が浸透していないということだろう。ボールを失った際に孤立してプレスをかけるシーンなどが散見された。

そのためか、相手のショート、ロングカウンターに対してフィルターをかけることが出来なかった。

1失点目はこの課題が明確に露呈したシーンであると分析。

また、攻撃時に3-2-5へ可変するためにネガトラ時にフィルターになるべく中盤が2枚しかいない。

システムの構造上ネガトラ時の守備対応に課題を抱えていることは明確である。


局面➂:SC相模原『守備分析』

【ブロック形成時配置】

SC相模原はリトリートした際には【5-4-1】のローブロックを形成し、5レーンすべてに人を配置して自陣ゴール前のスペースを消す。しかし、1点目、2点目の失点シーンなどで見られた通り、26番のDF経験の浅い栗原 イブラヒム ジュニアの1V1の対応の悪さが特に目立ってしまい、最後の個の局面で打開されてしまう形となった。

【プレッシング時配置】

SC相模原はプレッシング時に【5-2-3】の立ち位置を取り、相手の4バックに対して前線3枚で面を作り、ボールをサイド方向に誘導して奪うことを狙いとしている。しかし、本ゲームでは3枚の間に縦パスを打ち込まれるシーンが多く見受けられ、容易に前進させてしまった。まずは前線3枚のプレスのタイミングと距離感を揃える修正を行いたいところだ。

ゲーム全体を通して「ゴール前の守備強度が非常に低かった」こと、「ブロック形成時にボールホルダーへアタックすることができない」ことが懸念材料である。

局面④:SC相模原『ポジトラ分析』

「常にゴールを意識させている」という戸田和幸監督の志向通りに、優先順位がまずは相手の背後といった意識付けがしっかりとなされていた。特に2点目のロングカウンターはそんなポジトラ時の原則が見事に遂行された場面であった。

さかりーにょEYEs~SC相模原の今後の展望~

21名の新加入選手を迎え、チームの平均年齢が20代前半というSC相模原。監督の戸田和幸氏と同様若くて野心溢れるチームは大きな可能性を持っている。

次節に向けてネガトラ時の整理とゴール前の守備強度を強くするという2点の修正を行うことで2023シーズン初勝利に大きく近づくことが出来ると分析した。

本試合のハイライトはこちらから


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