シュートが入らないと得点にならず勝てないので、シュート決定率が高いと勝利する可能性も高くなる(得点が入らないと勝てないのは当たり前だが、得点を入れるのが大事なスポーツだと再認識した)。シュート数が多く、得点も入れば、シュート決定率が低くてもよいのではないかと思ったが、シュート数や得点は勝利とあまり相関せず、シュート決定率のほうが勝利と相関するという結果に驚いた。

シュート成功率11.8%以上で勝利できている(5試合、3勝1敗1分、勝率60%、獲得勝ち点10、1試合当たりの勝ち点2.0)ほかの項目では試合数がまだ少ないためか傾向が見えなかった。コンサドーレ単独のゴール期待値のデータをマッチレポートから手打ちで追加し、ゴール期待値の高さと勝利が相関するかをみたが、相関しなかった。チーム単独ではなく、対戦相手のゴール期待値との比較や個別の試合ではなくシーズン通した際に使用したほうがよいなど、チームのゴール期待値の高さと勝利とは相関しないかもしれない。

(ゴール期待値とは、「あるシュートチャンスが得点に結びつく確率」を0~1の範囲で表した指標、チームがどれだけ質の高い決定機を作り出していたか、チームのシュート能力を推測

https://www.football-lab.jp/pages/expected_goal/

シーズン中にチームが得た全てのゴール期待値を合計すると“期待ゴール数”となるため、これを見ればチームがどれだけ質の高い決定機を作り出していたかがわかります。さらに、期待ゴール数を実際のゴール数と比較することにより、チームのシュート能力を推測することもできます。各シュートに対して算出されたゴール期待値は、平均的な選手がシュートを打った場合のシュート成功確率に近いと仮定できます。つまり、合計ゴール期待値と合計ゴール数の差は、平均的なチームとのシュート能力の差を反映していると考えられます。)

追記

対戦相手のゴール期待値も手入力し、ゴール期待値の差(コンサドーレ-対戦相手、+ではコンサドーレのゴール期待値が上回る)で並べた。

ゴール期待値の差が+(プラス)では8試合、2勝3敗3分、勝率25%、獲得勝ち点9、1試合当たりの勝ち点1.125

ゴール期待値の差が-(マイナス)では3試合、1勝2敗0分、勝率33.3%、獲得勝ち点3、1試合当たりの勝ち点1.0

試合数がそれほど多くない影響なのか勝率は低いが、ゴール期待値の差が+(プラス)であるほうが勝ち点を積み上げられるようだ。

次にTrackingでの勝利は

総移動距離 113 km以上

スプリント数 175回以上のみ

移動距離差 +1 km以下

スプリント差 -20回以上

だった。

移動距離差ではFC東京戦でのみ+1~+3 kmと上回っているが、この試合では前半にFC東京の選手が退場、後半にコンサドーレの選手が退場している影響が大きく出ていると思われるのでデータに含めるのかは判断が難しい。

総移動距離が113 km以上、スプリント数175回以上、スプリント差が相手よりも-20回以上であり、+7回以上であればコンサドーレが勝利する可能性が高いようだ。

ただ、走行距離を伸ばし、スプリントをすれば勝てるのであれば陸上競技になってしまうので、どのような状況で走ればいいのかを考える必要がある。シュート決定率が高いと勝率が高いことも考慮するとシュート決定率が上がるようなスプリントと走行距離になるとよいかもしれない。例えば、チームのスタイルの一つでもある相手のパスをカットしてからの素早いショートカウンターで、スプリントし、数的有利な状況でシュートをするなどだろうか。

2021シーズン12節(11試合)までの北海道コンサドーレ札幌勝利条件は

シュート決定率11.8%以上

(ゴール期待値の差をプラスに)

総移動距離 113 km以上

スプリント数 175回以上

(移動距離差 +1 km以下、省エネのほうがよい?)

スプリント差 -20回以上

だった。


ここからミシャ監督就任以降のコンサドーレの勝利条件を見ていく。監督が同じでないとチームスタイルが大きく変化し、勝利条件も変化すると思われるためここでは2017~2020シーズンまでを見ていくことにしようとしたが、時間がかかりそうなので、2020シーズンのみ先にまとめることにした。


北海道コンサドーレ札幌 2020 日程・結果・試合比較 https://www.football-lab.jp/sapp/match/?year=2020

当たり前だが、シュート成功率0%では得点ができないので、勝つことは通常できない(オウンゴールがあれば勝つこともあるかもしれない)。シュート成功率7.7%以上でのみ勝利することができた(18試合、10勝4敗4分、勝率55.6%、獲得勝ち点34、1試合当たりの勝ち点1.89)。

ボール支配率では55.2%以下で勝利した(55.2%~38.1%最低値で勝利)、(24試合、10勝8敗6分、勝率41.7%、獲得勝ち点36、1試合当たりの勝ち点1.5)。ボール支配率55.2%以上の55.7%~63.9%最高値では勝てていない(10試合0勝7勝3分、獲得勝ち点3、1試合当たりの勝ち点0.3)。

攻撃CBPが17.41以下(16試合、8勝2敗6分、勝率50%、獲得勝ち点30、1試合当たりの勝ち点1.875)、パスCBP14.71以下(19試合、8勝5敗6分、勝率47.1%、獲得勝ち点30、1.579)では勝利が多い。

奪取P124.57以上では4試合とも全勝だった(4試合、4勝0敗0分、勝率100%、獲得勝ち点12、1試合当たりの勝ち点3)。

守備P8.93以下では3敗3引き分けと6試合すべて勝利なしだが、11.65以上では(19試合、8勝5敗6分、勝率47.1%、獲得勝ち点30、1試合当たりの勝ち点1.579)と勝利が多い。

ほかの数値、AGI、KAGI、チャンス構築率、シュート数では勝敗の傾向があるようには見えなかった。

追記

対戦相手のゴール期待値も手入力し、ゴール期待値の差(コンサドーレ-対戦相手、+ではコンサドーレのゴール期待値が上回る)で並べた。

ゴール期待値の差が+(プラス)では20試合、7勝8敗5分、勝率35%、獲得勝ち点26、1試合当たりの勝ち点1.3

ゴール期待値の差が-(マイナス)では14試合、3勝7敗4分、勝率21.4%、獲得勝ち点13、1試合当たりの勝ち点0.93

ゴール期待値の差が+(プラス)であるほうが勝率、1試合当たりの勝ち点ともに良いという結果だった。


次にTrackingでの勝利は

総移動距離 110-113 km以上

スプリント数 130回以上

スプリント差 -20回以上

であり、

移動距離差 +3 km以上では負けなし、-1~+1 kmでは勝利なし

だった。

それぞれの勝敗、勝率、獲得勝ち点をまとめた。

勝利条件では最も勝率のよい条件である、総走行距離110 km以上116 km以下、スプリント数160-175回、移動距離差+3 km以上、スプリント差+20回以上という結果だった。勝率や獲得勝ち点では同じになることもあるが、試合数を考慮し、獲得勝ち点/試合数で、1試合当たりの勝ち点を算出した。

最も効率よく勝ち点を積み上げる条件は総移動距離113-116 km、スプリント数160-175回、移動距離差+3 km以上、スプリント差+20回以上ということになった。対戦相手や気温、連戦などでこの条件で戦い続けるのは難しいので理論上の数値になるが、2020シーズンでのTrackingデータからの勝利条件をだすことができたのではないかと思う。Trackingデータでは相手よりも走ることができるほうが昨シーズンのコンサドーレにとっては重要だったようだ。(オールコートマンツーマンのため?)

2020シーズンサマリーを振り返って、まとめたいと思う

北海道コンサドーレ札幌 2020 シーズンサマリー | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB https://www.football-lab.jp/sapp/?year=2020

チームスタイルは中央攻撃とカウンター、AGIとKAGIでは上位でゴールに近づけさせないような攻撃的な前線からのハイプレスでの守備(オールコートマンツーマン)、シュート決定率は9.3%だった。

2020シーズンのコンサドーレの戦い方での勝利条件は

シュート成功率7.7%以上

ボール支配率では55.2%以下

攻撃CBPが17.41以下、パスCBP14.71以下

奪取P124.57以上(であると勝率100%)

守備P11.65以上

Trackingでは、総移動距離113-116 km、スプリント数160-175回、移動距離差+3 km以上、スプリント差+20回以上

だった。