横浜FM8戦目。

代表ウィークを挟んで2週間ぶりの試合であり、過密日程の4月を幸先よくスタートするために両チームとも勝ち点3を目指す激しい一戦となった。


試合を観ていない方はハイライトをご覧下さい。



結果は2-1で横浜FMの勝利

前半の中盤からは苦しい時間帯が続いたものの、HTの好采配を機に流れも勝ち点3も掴んだ。


基本スタッツゴール期待値


目次

①手のひらの上

②矯角殺牛

③決定打

④終わりに


①手のひらの上

試合開始早々、横浜FMは先制点をあげる

押し込んだ状態の中で永戸のクロス・西村の身体能力とストロングポイントを存分に生かした得点であった。

新加入ながら限られた出番でアピールし続ける2人にとって数字で結果を残すことになった。


攻撃スタッツ - 永戸 勝也攻撃スタッツ - 西村 拓真


しかし、それ以降は辛く苦しい時間帯が続く。

ただこれは決して偶発的なものではなく、アルベル監督によって緻密に練られたものであった。

内側を取りたがる横浜FMのSBへのパスコースを消すために、両WGをCBに対して外切りでプレスさせたのが肝であった。

IHの強度・運動量が伴わないと第9節で対戦した川崎のように瓦解する恐れのあるプレスの方法だが、松木・安部の両IHによる献身的な守備によって成立していた。



実際にCBからSBにつけるパスよりもボランチにつけるパスの方が多くなっており、またセンターサークル付近でのボールロストが異常に多かったことも見て伺える。


エリア間パス図ボールロスト位置


横浜FMとしてはWGの裏にいるSBへパスをどう運ぶかというのを共通認識として持ちたかった

その方法としては①ボランチからレイオフ②SBが低い位置に下がってくる、の2つの方法があったが前述の通りボランチはプレスの狙い目にされておりSBも融通を利かすことができなかった。



その結果、横浜FMは前半のほとんどの時間帯でアルベル監督の手のひらの上で転がされることとなったのである。


②矯角殺牛

対照的な内容ではあったものの1-1で前半を終えた。

そんな中、HTに両チームとも選手交代を行う。

横浜FMは宮市に代えて水沼を、FC東京はアダイウトンに変えて永井を投入する。

これが勝負の分かれ目となった。


攻撃スタッツ - 水沼 宏太攻撃スタッツ - 永井 謙佑


横浜FMの交代の意図としては、前半何とか宮市までボールを繋げるものの肝心の宮市が持ち前のスピードを生かせなかったりクオリティ不足だったりという部分を修正したいというところだろう。

またプレス面でもエンリケトレヴィザンを誰が見るのかが曖昧になった結果、アダイウトンにカウンターの起点を作られてしまっていた部分の手直しも意味もあった。



一方のFC東京の意図としてはプレス面ではアダイウトンに不満はないように思えたが、攻撃面、特にカウンターでもう少し違いを生み出したいという小さな欲があったように感じる。


守備スタッツ - アダイウトン攻撃スタッツ - アダイウトン


結果として、FC東京は永井がプレスバックを怠ったところからカウンターを食らい、水沼のクオリティの高いクロスから決勝点を許すこととなってしまった。


③決定打

FC東京も何とか同点に追いつこうと必死に手を打つ。

67分に2枚替えを敢行。使い慣れている4-2-3-1にシステムチェンジすることで後方からのビルドアップを安定させ、サイドでSHとSBによる攻撃を積極的に仕掛ける



たしかにサイド攻撃は活性化されたが、プレス面で問題が生まれる。

それは横浜FMの2ボランチを捕まえにくくなったことである。

前半と比べて横浜FMのSBが低い位置に下がってきて相手を釣り出せるようになったのも一因だが、ボランチの脇と後方にスペースを作られやすくなっていく。

松木も頑張って逆サイドからスペースを埋めに来るが、間に合わず無理なプレーを選択せざるを得なくなり結果レッドカード

これで勝負ありとなってしまった。



④終わりに

今シーズンは主力の退団・離脱もあってか前半劣勢に回る試合が多いが、HTで立て直して勝ち点をものにする試合が多い印象。

コーチ・アナリストも含めて、自チームの選手の特色や試合内での修正点をよく見極められているのかなと感じる。