【J1】前半戦の戦いを振り返ってみよう!
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1、前置き


浦和レッズに関しては、熱いサポーターのチームというイメージに加えて、ACLやタイトル戦で、何度かTV観戦でみた事があるが、「We are Reds!」という掛け声がとても印象に残っている。また、22阿部 勇樹に関しては、千葉時代から好きな選手である。


ヴィッセル神戸に関しては、楽天マネー(スポンサーの資金力による補強)が印象的で、バルセロナとの関係性を含め、ビッククラブになるのかと近年注目している。岡山サポとしてもJ2での対戦は、忘れられない。また、8アンドレス・イニエスタのプレーが凄すぎて身近なJリーグで見る事ができることは、とても幸せな事であると感じる。


それでは、そういった両チームがどういったサッカーをしているのか見て行こう思う。


2、フォーメーション図


フォーメーション図

「浦和レッズ」
・4-2-3-1から4-2-2のオードソックスなシステムに変更。
・前節から18小泉→24汰木、29柴戸→17伊藤に変更。
・5槙野と4岩波がJ1リーグ戦全試合フル出場を継続。
・FW7キャスパーが、加入後にリーグ戦で2試合連続ゴール中。

フォーメーション図

「ヴィッセル神戸」
・浦和とは逆に4-4-2から中盤に厚みのある4-2-3-1のシステムに変更。
・前節から、31中坂と20井上→29リンコンと8イニエスタに変更。
・24酒井と5山口がJ1リーグ戦全試合フル出場継続。
・8イニエスタが、今季初スタメン。


3、時間帯別パスネットワーク図で試合を振り返る


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図

「前半0~15分」
・ホームの浦和は、フリーの選手や空いたスペースを使って行く繋ぎ。
・アウェーの神戸は、選手を引き付けて技術や動き出しで、スペースを作って、そこから攻めて行く攻撃の形。
・神戸の方が厳しく人数をかけた守備で、何度かボール奪取で形を作る。
・浦和は、ある程度引き付けてスペースを消す守備で、行けそうなら寄せて行くスタイルで、一度のみ高い位置で奪取するも形にならず。
・神戸が、8イニエスタのデザインされたセットプレーと、ドリブルとパス交換で裏へ抜け出した形からクロスから11古橋のシュートの2度の決定機を作るも決めきれず。


「前半15~30分」
・両チームに大きな変化はなく、前の15分との似た攻防が繰り広げられる。
・浦和に関してはリスクを最小限にするも未だに攻撃の形を作れない。
・神戸は、浦和が前まで運んだ所で、奪ってからのカウンターや、ボールを保持している時に、浦和の寄せをいなしてゴールに迫る。
・神戸がチャンスになりそうなシーンでの前線の選手にパスが入った所を、浦和のDFに狙った守備で、神戸の攻撃を凌ぐ。
・両チームに大きな決定機はないが、依然として神戸のペース。


「前半30~45分」
・浦和が、この時間帯の冒頭にセットプレーとミドルシュートで攻撃の形を作る。
・浦和が、長めのパスを選択するシーンからサイド攻撃に活路を見出し、守備では、前から人数かけてパスコースを限定するシーンも見られた。
・浦和が、攻守で速い展開に変化が見られた事で、神戸が繋ぐ時間は相対的に減った。
・前半0~30分の時間帯と比べて、浦和が盛り返した印象。実際に、神戸も質の高いプレーで、攻撃の形を作りれかけていたが、回数が減った。


「後半0~15分」
・ハーフタイムに浦和が動いて、18小泉→9武藤、22阿部→29柴戸の選手交代。
・浦和が、中盤を省略してロングパスを使って前に運ぶと、中と外の出し入れで、最終的に外のスペースを使い、そこからのクロスを11田中がヘッドで決めて、浦和先制。
・この時間帯からは、浦和が長めのパスを活用した事と、選手交代で攻撃が活性化。
・神戸は、怪我のアクシデントや、浦和が中盤省略の攻撃へシフトしたことで、全体のバランスが崩れ、攻守で嵌らなくなった。
・神戸は、上記の怪我などもあり3枚替え、29リンコン→49ドウグラス、23山川→19初瀬、22佐々木→40アユブの交代。
・神戸も8イニエスタのスルーパスの流れから7郷家のボレーまで行くがミートせず決めきれない。
・この時間帯は、浦和が、得点を決めた事もあり、この試合で初めて優位に進めた時間帯。


「後半15~30分」
・神戸が、主導権を握る時間ではなくなったが、8イニエスタを中心にパスでチャンスを作る。
・浦和は、無理に足元だけで繋がず、浮き球の長めのパスを活用する事で、神戸の守備の狙い絞らせないピッチを広く使った効果的な攻撃で流れを引き寄せる。
・浦和は、先制点を決めた11田中→41関根、ドリブルで存在感を放っていた24汰木→6山中の2枚替え。
・神戸は、40アユブ、49ドウグラスが攻撃に迫力を生むも、GK12鈴木とCB5槙野を中心に粘り強く浦和が対応。
・お互いに良い所が出たが、スコアは動かず、試合は勝負の終盤戦に進む。


「後半30~45分」
・浦和が、前に行こうとする間延びした神戸のスペースへ浮き球の長めのパスを入れて、そこからドリブルとパスで崩すという形が続く。
・神戸が守勢に回る中でもイニエスタが、形を作るもゴールが遠い神戸。
・浦和が、左サイドからクロスというパターンが面白いように形になり、CKのチャンスが続く。
・神戸は、7郷家→37増山を投入し、浦和に傾いた流れを呼び込むために攻撃の変化を狙う。
・しかし、浦和が、セットプレーで、一度は、神戸の選手にクリアされたセカンドボールの回収後の流れから7ユンカーが駄目押しの追加点。
・浦和は、余裕を持って追加点を決めた新エース7ユンカー→30興梠に交代。
・神戸がAT5分で、粘り強く得点を狙って攻めるも、浦和が人数をかけた守備で、神戸の攻撃をシャットアウトし、試合終了。


4、データで注目したいポイント(浦和側)


エリア間パス図

ショートパスが多かった前半30分までとは違い、30分後から長めのパスやピッチを広く使ったパスが増えた浦和。特に後半からは、それが顕著となった。前半の後ろでのパス回しが多かった事は、主導権を神戸に逃げられた中でもある程度繋げていた事を示す真っ赤なデータ。後半からのロングパスやピッチを広く使った事を示す対角線のパスやレーンやエリアを跨ぐパスも一定数を記録。90分間でのパスのデータだが、パズルの様に浦和の攻め方の変化が分かる。

攻撃スタッツ - 汰木 康也

ヒートマップ - 汰木 康也

後でのパス交換の多かった前半30分までのヒートマップと、前半30以降からアシストして途中交代で下げるまでのプレーエリアがはっきりと分かるヒートマップ。そして、前に運ぶことに苦労した速い時間帯とは対照的に深い位置に侵入する事ができた後の時間。これだけ深い位置かつ、ペナルティエリアでも受けたシーンもあり、神戸のサイドのスペースを巧く突けた事が分かるデータ。

攻撃スタッツ - キャスパー ユンカー

ヒートマップ - キャスパー ユンカー

前半の押し込まれていた時間帯には、自陣でプレーする時間帯が長かったが、サイドを使えるようになった時には、高い位置でのプレー時間が長くなっている。前半の30分までは、降りて来ていたがパスは来ず、サイドからの崩しで光明が見えた時には、中央でじっくり得点チャンスを待つ。パス数の少なさが、7ユンカーの苦悩の跡が分かるが、そこをフラストレーションを溜めずに待つことができるメンタルの強さと、シュート2本で枠内シュート2本というシュート精度の高さを併せ持った心技体がハイスペックのストライカーである事が分かるデータ。

時間帯別パスネットワーク図

改めて、時間帯別パスネットワーク図(浦和)を見る事で、この試合の高度な攻防のやりとりが見えてくる。


5、データで注目したいポイント(神戸)


パスソナー・パスネットワーク

チームとして、奇麗なトライアングルのパスネットワークがができている。どちらのサイドに偏ることなく、チームとして相手の弱い所をパスで崩していくスタイルである事が分かる。一方で、長めのパスも一定数混ざっているが、中盤省略は、基本的にはしないという揺るぎないパスサッカーへの信念を感じるデータ。また、パス本数が少なくても、しっかりパスが成功しており、チームとしてもそのパスサッカーの調和性の高さを感じる。

攻撃スタッツ - アンドレス イニエスタ

守備スタッツ - アンドレス イニエスタ

走行距離・スプリント回数

ヒートマップ - アンドレス イニエスタ

8アンドレス・イニエスタの凄さは、1つのデータでは語れない。ラストパスを3本も記録しているが、パス数もヒートマップが前目であるのに、82本で63本という成功率。アシストを狙うパスや局面打開を狙うパスが多いことを考えると脅威のデータと言える。守備でもタックル数が4本も記録しているうえに3本も成功。走行距離もチームトップクラスの距離。ベテランという事もあり、スプリントは難しいが、ゆっくり走る事で、攻守で、多くの局面に関与。まさに神戸は、8アンドレス・イニエスタを中心に戦っていた事が分かるデータ。

攻撃スタッツ - トーマス フェルマーレン

攻撃スタッツ - 山口 蛍

攻撃スタッツ - 酒井 高徳

守備スタッツ - トーマス フェルマーレン

守備スタッツ - 山口 蛍

守備スタッツ - 酒井 高徳

攻守で高い数値を記録した海外組(海外でプレーした経験のある選手)。

まずは、4トーマス・フェルマーレン。攻撃では、後ろでのパス回しではなく、前に運んで行くパスが主体であるのにパス数が71本で成功数67本で、ラストパスまで記録。守備スタッツは、満遍なく記録し、中でもクリアは、脅威の6回。

次に、今季での全試合フル出場継続した5山口 蛍。守備人というイメージが強かったが、神戸で覚醒。87本のパスと82本のパス成功に加えて、ラストパス2本に、クロスを1本記録した。守備では、毀れ球奪取数5回を記録。しかもノーファウル。

最後に、同じく今季での全試合フル出場を継続した24酒井 高徳。攻撃では、65本のパスと成功数はリバースの56本。クロス数は、なんと4本で、枠内シュートも1本を記録するというおまけつき。守備では、クリアとブロック各3回に加えて、毀れ球奪取数は、5山口 蛍越えの6回を記録。

まさに皇帝8アンドレス・イニエスタを支える三銃士と言える働き。攻守での高いスタッツを記録した神戸の凄さが伝わって来る。


6、総評


基本スタッツ


個人スタッツでは、神戸が圧巻の内容だったが、基本スタッツでみるとほぼ互角と言えるスタッツ。勝負を分けたポイントがあるとすれば、ストライカーの差であったように感じる。


中盤より後ろの選手が高いスタッツを記録した神戸だが、前線の選手は、もう一押しが足りなかった。一方で、浦和の新エース7ユンカーは、劣勢を跳ねのける驚異の決定力で追加点を奪うことで、神戸の反撃の芽を摘んだ。8アンドレス・イニエスタのパスを活かせるストライカーが、前線に1人でもいれば、違った結果になったかもしれない。


個人にフォーカスを当てれば、神戸の勝利だったかもしれないが、チームとしてフォーカスを当てれば、全体のチームのバランスの良さと、試合の進め方や各個人の役割がしっかりしていた事で、ゴールに効率よく迫り、得点という結果に繋げた浦和の順当な勝利と言えそうだ。


神戸としては、29リンコンや49ドウグラス、40アユブ・マシカのコンディションや連携の向上による決定力を如何に高める事ができるかというシンプルな課題だが、負けないが勝てないという結果が示す通り、サッカーの内容に反して、思った以上に勝ち点を伸ばすのは難しいかもしれない。


7、後書き(岡山サポ視点でみたここが凄かったポイント)


「浦和レッズ」
・7ユンカーの完成された心技体から得点を繋げる決定力の高さ。
・サイド攻撃の形の完成度。
・勝利に繋げる確かなリスク管理に裏打ちされたリスク管理。
・選手交代で質が落ちない選手層の厚さとバランスの取れたチーム構成。


「ヴィッセル神戸」
・8イニエスタの攻守でのインテリジェンス溢れるプレーの全て。
・攻守でハイパフォーマンスのプレーができる選手の多さ。
・高いポゼッションに繋がる主導権を握る中盤の構成力の高さ。
・満遍なく色々な攻撃の形を構築できるバランスの良さ。


J1のレベルの高さを感じた試合。カップ戦の決勝戦ぐらいしか最近は、チェックできていなかったが、久々にJ1の試合をじっくり見たが、レベルは間違いなく上がっていると思う。良い選手が海外組として海外に移籍しているのではなく、Jリーグに良い選手が多くいるから海外組が増えた。クラブワールドカップを見ていると、流石にレベルの差こそあるのも事実だが、良い選手の割合は増えている。


制度や環境が変わる中で、有力な外国籍選手も増えて来た事で、またJリーグも盛り上がって来たと感じることができた。浦和のGK12鈴木 彩艶や、神戸の7郷家 友太など若い選手も出場機会を掴んでいる。クラブ数も増えて、多くの選手がJリーグに所属するようになった事で、タレント豊富となり、面白いリーグになってきたと思う。各チームには、各チームの良さがある。そういったチーム同士の良い点をぶつかりあう事で、面白いゲームとなる。また、機会があれば、応援しているチームだけではなく、観てみたいと思えた。


最後に、面白い試合を戦った両チーム、浦和レッズとヴィッセル神戸に感謝の気持ちを言葉にして終えたいと思う。

有難う浦和。

有難う神戸。


文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様