2021 J3第29節 岩手 1-0 富山 レビュー 欠点や課題があることはいいことなんだ

この試合を分けたのは、この１年間の積み重ねだった。

富山さんは勝ち点３が必須となったこの試合、全試合先発だった姫野選手を外し、末木選手をアンカーに起用した。ＩＨに佐々木選手を抜擢し、ボールを握り得点を狙う事を選択した。また、２トップが縦並びになる時間帯が多く、高橋選手がトップ下的な位置取りからＤＦラインの裏を狙っていた。その事で椎名選手が右サイドに流れてパスを受ける形が多く、マテウスの突破シーンなど再三岩手の左サイドを崩す事を狙っていた。

しかし、岩手の左サイドはブレンネルが流れ攻撃の起点となる事と椎名選手が外に流れてくる事から、音泉選手がなかなか攻撃に絡めなかったという事が、クロス本数０という所に現れている。

この試合のポイントとなったのは、２枚目のイエローカードのシーンになるが、岩手の攻撃の起点のブレンネルを組織で抑えるという選択ができなかった中で、普段アンカーでプレイしない末木選手の守備の負担が大きかったのは事実である。

勝ち点３が必須だった今週、１人少ない状況を想定した練習は１秒もしていなかっただろう。勝つ為に用意していたプランも使えなくなってしまった物もあっただろうが、後半も一進一退の試合に持って行けたのは富山さんの強さであった。しかし、最後の交代で４バックに変更し勝負を賭けたが、１人少ない中で交代枠を２つ残してしまった事で、体力的に厳しかった選手を代えられなかった事が失点に繋がってしまった事は残念であった。

後半のＣＫからのカウンターを増田選手との連携で守った小野田選手は素晴らしかった。得点のシーンは、上がってきた富山安藤選手のクロスをキャッチした野澤選手がすぐに西田選手に投げた所から生まれている。加入当初は、上の世代と初めて対峙する為、コンタクトの所で不安を抱えていたが、今や岩手の守護神である。

ゴールシーンは、収容人数５０％と感じさせないスタジアムの興奮度だった。このご時世の中でこういう現場に立ち会えた事に感謝したい。試合運営に関わる皆様１年間おつかれさまでした。選手・関係者の御家族の皆様も１年間おつかれさまでした。クラブ関係者の皆様あとひとつ。