第8節 藤枝戦のレビュー記事です。皆様の考察の一助としていただければ幸いです。

※今回は、やや内容を端折っております。

          ◎

なかなか結果が出ない数試合、ショッキングな連続失点、わずかな残り時間。それでも「最後まであきらめない」という、いつも心に置いておくべきメンタリティを選手たちが見せてくれた。試合内容は満足いくものではなかったですが、胸が熱くなるシーンがありました。


■試合前確認事項


フォーメーション図


・岡山は前節採用した3バックではなく、4バックに戻してのスタートを選択。ムーク、田中雄大、河野諒祐がスタメンに復帰。


・左SBは当初、鈴木喜丈でアナウンスされていたが、高木友也に変更。何かのアクシデントであろうか。


・メインスタンド側(すなわちDAZNメインカメラ側)から見て、右から左に強くて重い風が吹いている。


■試合振り返り


▼前半

・試合開始直後、相手のロングボールが風に押し戻され、岡山GK堀田大暉のクリアが不十分となる。こぼれ球を相手選手にさらわれていきなり大ピンチとなったが、堀田が素早く戻ってこのボールを手で止めたことにより事なきを得る。この試合の最後まで付きまとう、強風による影響を予感させた。


・ヒヤリとする立ち上がりだったが、前半はほぼ「追い風」の岡山のペースで試合が進んだ。相手に対するプレスが効率的に機能し、「相手コートでプレーする」というコンセプトが体現できていた。圧力をかけて相手ゴールに迫る中で、コーナーキックも多く獲得できた。


・それらの取り組みが21分に結実。コーナーキックから、柳 育崇のゴールで岡山が先制に成功した。ソロモン・バイスらで相手選手をブロックし、自由を得た柳が頭で叩き込む。前節は失点に絡んでしまっていた彼だが、ここで名誉挽回と相成った。


・強い追い風を背に受ける形で、「地の利」も生かして相手コートへぐいぐいと舟を進めることのできた、前半の岡山。ただ、多くのチャンスがあった中で奪えたゴールは1度のみ。ここで取りきれなかったツケが、後半にじわじわと回ってくることとなる。16分の櫻川 ソロモン、25分のステファン ムークのシュートなどが決まっていれば、また違った展開になっていたのではないかと思われる。



▼後半

・前半は単発的であった藤枝の攻撃が、後半になると多くみられるようになった。相手は岡山の守備陣形の「すき間」をうまく使ってきた。サイドに展開してこちらの守備を引き付けるであったり、クロスを上げるタイミングであったり…それらの取り組みの中で、徐々に岡山は前への出足が鈍くなる。


・リードを保っていた岡山であったが、75分に失点を喫する。きっかけは岡山ゴールから見て右サイドからのクロスであった。こちらの守備が構えるタイミングを少し外したような、低めのボールに合わせられた。クロスを上げられるところでのブロックなどがもう少しタイトであれば。。。とは感じた。


・さらにショッキングであったのは、その2分後に立て続けに失点したことだった。こちらも岡山から見て右サイドを使われた。岡山の守備陣の意識が右サイドに傾く中で、その虚を突いて最終ラインの背後を取られた。相手のラストパスに対し、懸命に戻ったヨルディ バイスが脚を出しコースを変えようとしたが、彼の脚に当たったボールは自陣に吸い込まれてしまった。オウンゴールであった。


・ただそれでも岡山はあきらめず、攻める他なくなった残り10分で再び攻勢に出る。試合終了間際の後半AT、田部井のクロスを相手がクリア、このこぼれ球にバイスが反応した。難しい体勢から右足を振りぬき、執念のダイレクトボレーを繰り出すと、これが藤枝ゴールに突き刺さる。彼自身がいつも掲げてきた「絶対にあきらめない」その姿勢が、チームを敗戦の危機から救った。と同時に、自らのミスを取り返した。


・振出しに戻ったゲームはそのまま試合終了となった。



基本スタッツ



【速報】ファジ、藤枝と2―2分け 土壇場で追い付くJ2第8節:FAGIGATE|ファジゲート

https://www.sanyonews.jp/article/1384205?rct=f_report


ファジアーノ岡山 2023マッチレポート | 4月8日 vs 藤枝 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

https://www.football-lab.jp/okay/report/


■雑感など

・この試合では左サイドの高木 友也佐野 航大でボールを進める割合が高かった。また、高い位置で良い体勢(相手ゴール向き)でパスカットできる場面も多くあり、そこから輪笠 祐士らが前線へダイレクトにボールを蹴り込む、といった手段も、特に追い風の前半は効果的だった。この試合でのパス本数トップは輪笠であった。▼

パスソナー・パスネットワーク

攻撃スタッツ - 輪笠 祐士



ステファン ムークは、この試合ではソロモンと話し合い(言い合い?)ながらも積極的にゴールを目指していた。そして、ピッチ全体を幅広く動いている。▼

攻撃スタッツ - ステファン ムークヒートマップ - ステファン ムーク


田中 雄大は、この試合でも右サイドと中への絞りとを状況に応じて使い分けていた。中央付近でボールを奪う、中央へドリブルする…といったシーンもあった。ラストパス3本はこの試合チーム1位か。「良いとき」の彼が久しぶりに見られたような気がする。▼

攻撃スタッツ - 田中 雄大ヒートマップ - 田中 雄大



ルカオ。後半途中投入であったが、だんだんと動きのシャープさが増している印象を持った。うまく相手守備の裏に抜けるシーンを何回か作っていたし、後方の選手との息もあってきている印象。近いうちにひとつ、結果が出るのではないか?と期待が高まる。▼

攻撃スタッツ - ルカオヒートマップ - ルカオ


木村 太哉。1対2となった後で投入。劣勢となった中、勢いのあるドリブルでそのムードをはねのけようと戦った。彼が入ると元気が出る。そして、3試合続けて途中出場であるが、彼が入ると負けていない。▼

攻撃スタッツ - 木村 太哉ヒートマップ - 木村 太哉


ヨルディ バイス。起死回生の同点ゴール。ゴール後のガッツポーズに、彼自身の安堵と執念を見た。なかなか勝利という結果が出ない中でも最低限のことをやる、最後まで決してあきらめない。ぼくらサポーターに大事なことを、プレーで教えてくれている気がする。

攻撃スタッツ - ヨルディ バイス


【J2第8節・藤枝戦】柳『後半の失点もったいなかった』、イグォン『自分自身は早くゴールを決めたい』、櫻川『勝ち点1は後々意味があるはず』、木村『勝ちにもっていける力が課題』:FAGIGATE|ファジゲート

https://www.sanyonews.jp/article/1384249



ヨルディ・バイス『自分自身に対しての怒りもあったので、チームのために点を取りたいと思っていました』:FAGIGATE|ファジゲート

https://www.sanyonews.jp/article/1384803


■次戦へ向けて


前節までの対戦成績


得失点パターン


・今季最初のミッド・ウィーク・ゲームだ。相手は熊本。昨季は2試合とも勝てなかった相手である。そして、どちらの試合も痛いドロー・敗戦であった。今年は何とかやり返したい。


・岡山の得点+熊本の失点パターンで一番多いのがセットプレー。他方、熊本の得点+岡山の失点パターンで一番多いのがクロスであるらしい。岡山としては、3試合続けて失点してドローである。ゆえに、クロスへの守備はタイトに、厳しくしていきたいところ。


・愚直に一丸に、勝つための努力を続けているが、なかなか勝利に結実しない…そんな岡山にほしいのは、あの男が持つ理不尽である。いよいよ今度こそ満を持して、彼がピッチに戻ってきそうだ(ご本人インスタ等より推測)。大いに期待したい。


(了)