未だ、出口は見えず

今日のガンバの試合を見ていて一人の監督の事をふと思い出した。

ヴァヒド・ハリルホジッチ監督である。

日本代表の選手達は彼の言葉を忠実に守った。それはもう、忠実に。

結果、ひたすら前線に放り込み、ひたすらクロスを上げる。

それはもう、退屈なサッカーが展開されていた。

だが、ハリルホジッチ監督にとっても想定外だったのでは無いか?

日本人は監督の言う事に忠実過ぎるのである。

ハリル監督が過去に指導したのは主にフランスやアフリカのクラブや代表。

(かのロナウジーニョをチームから追放した事も?)

彼らは個人の強靭なフィジカルや能力で何とかしてしまう。

監督の言う事を無視してでも。

故に彼はいつもの通り、7~8割くらい言ってる事を聞いてくれれば良い、

と思っていたのでは無いだろうか?

まさか10割10分、必要以上に言われた事を守ろうとするとは思ってはいなかったのでは?

そしてモイーズは叫ぶ「クロスが足りない」


・・・という所で長すぎる前置きはさておき、両チームのフォメについて

フォーメーション図

広島の3バックに対して3トップ。これは大きなメリットである。3トップのWGが最大限生かしたい

スペースに人がいない。大外に佐々木や塩谷を釣り出す事ができればそれだけで宇佐美の飛び出しも

誘発でき、速攻の場面では東、野津田、満田の三人が揃って守備に回っているとは考え辛く、中央で

こぼれ球も回収しやすい。宇佐美、ダワンの位置に良い形でボールを運ぶ事ができれば

「殴り続ける事」ができる。

フォーメーション図

しかし、広島にもそれは同じことが言える。攻撃に主に絡んでくるのはベンカリファ、ソティリウ、東、森島、野津田、満田。6人もいる。ガンバの4バックにネタラヴィ、ダワンを足してようやく同数。

しかし、中盤からボールの無い所で飛び出してくる選手は得てして捕まえ辛く、攻撃時には数的には有利だと言える。

試合開始前の形を見た感想としては、主導権と獲った方が相手を攻撃し続ける事ができる。

しかし、一旦相手に主導権を渡したら攻撃され続ける事にもなるスリリングな試合になりそう。

そんな所でした。

基本スタッツ

早すぎる失点。

失点は前半2分。ダワンの背後から飛び出してきた森島が良い形でボールを受け、ファーにいたベンカリファがグラウンダークロス(とゆうか横パス?シュート?)を受け先制。

森島がボールを収めた時点でほぼ勝負は決まっており、ダワンの後頭部に目は付いていないので

ダワンは森島を捕らえられない。しかしネタラヴィの正面であり彼が体を張ってでも抑えなくてはならなかった。これは連携面での問題もあるだろう。しかし、中盤の底にいる限り、体を張ってでも敵の侵入を阻止しなければいけない。

前回のブログで「宇佐美、ダワン、ネタラヴィの3人ではどうか?」と私は書いたが私の考えとは位置が逆だ。体を張れるダワンこそ中盤の底にいるべきだと思う。


その後も、野津田の飛び出しや佐々木のヘッド等、嫌な方に予想は当たり再三ゴールを脅かされる。

ちなみに野津田のシュートに関しては何と宇佐美がついてきており、枠を外す。体をを張る。

コレである。わかっている男、宇佐美。

ヒートマップ - 宇佐美 貴史

だが、33分、東口のキックをダワンが受けアラーノへ素早く繋ぎクロスはズレたものの

武蔵の決定機へ。

個人的に私が武蔵に求めるのはこの形である。彼にボストプレイやフリック等は

全く期待していない訳ではないがこういった速攻で最終ラインの裏に出たボールに合わせる形。

これが彼を最も生かせる形であると私は思う。


このあたりからガンバはボールを保持出来る様になりダワンのミドルもあった。

そして後半。ガンバがボールを保持する時間帯になり、広島はFWを一枚減らし中盤の松本を投入。

ここからが問題である。

ガンバはボールを保持し、そして忠実にポゼッションサッカーとやらを守ろうとする。

そこはWGのアラーノに仕掛けさせたら?裏に黒川が抜けようとしている!

そんなタイミングでもリスクを感じたら弦太まで戻す。それは只の遅攻である。

ひたすらただポゼッションだと思っている無駄なボールキープを繰り返す。

そして弦太がサイドチェンジを試みる。成程、恐らくそれは監督の指示だろう。

だが弦太までボールが戻っている間に、広島の選手たちは自陣に帰陣している。

しっかり引いた相手を崩すのはアジア予選で森保JAPANですら苦戦していたぞ。

中央から宇佐美が個人で仕掛ける場面もあったがPA周辺は広島の選手で真っ白だ。

福田のミドルも良かったがチャンスになったのは宇佐美だからだ。毎回、誰もが使える手ではない。

そしてひたすら遅攻

ハリルJAPANか?!


後半開始からもボールを維持できていた割に、ゴール期待値は低い。

裏のスペースへの走り込み。そしてそこへのスルーパスを!速攻を!

モニターの前で唸っていると70分、左サイドでパスを要求する様な裏抜けの動きから

中へ切り込んで同点。

コレである。わかっている男、宇佐美。

速攻が生きれば遅攻が生きる。逆もまたしかり。更に武蔵へ絶妙なスルーパスが宇佐美から放たれるが

これは大迫の正面。これが決まっていれば勝敗は全く逆のものになっていたかもしれない。

その報いか。ゴール、中盤での違いを作る事、守備。全てを背負わされた男の体が悲鳴を上げる。

そもそも人一倍体力があるわけでも頑丈であるわけでも無いのだ。宇佐美は。

ゴール期待値

そして、この試合は一つのPKで締めくくられる。

一番ミスをしてはいけない選手がやってしまった。みなまで言うまい。


選手評価◎〇△▲×

GKスタッツ - 東口 順昭

×

安定感は流石・・・と書きたかった。一番、貴方がやってはいけない。

たった一つのパスミスから勝ち点1を失わせる。

心を鬼にして評価する。


攻撃スタッツ - 半田 陸


今回も右サイドは機能しているとは言い難い出来。守備では体を張って相手の侵入を阻止。

良いサイドチェンジも見せた。徐々に良くなっている。

守備スタッツ - 三浦 弦太

懸命にサイドチェンジを試みる。今日はイージーミスも無かった。

守備スタッツ - 江川 湧清

序盤、やたらと倒されていたり、相手のプレスに食いつかれたり危ない面が目立った。

特に今回、相手の塩谷、佐々木と比較するとクオリティの面で厳しい評価に。

J1の水に慣れ、奮起してほしい。

攻撃スタッツ - 黒川 圭介

宇佐美への縦パス等、やれる事はやっていた。右の半田はクロス0。攻撃時の貢献も光る。

攻撃スタッツ - ネタ ラヴィ

ヒートマップ - ネタ ラヴィ

縦横無尽にこぼれ球を拾い、味方へ渡そうとする。守備の際、ボールを持っていない選手に付いて行く事も必要。〇と言いたい所だが失点(PKではなく最初の失点)関与のためさんかく。

攻撃スタッツ - ダワン

CKの際標的にされたり、ミドル打ったり。やれる事はやっていた。

やはり守備面では頼りになる。更に今回はアラーノとの連携も良くなり

攻撃面での改善もみられた。

攻撃スタッツ - ファン アラーノ

ヒートマップ - ファン アラーノ

今日も変幻自在のポジショニングだが、裏に抜ける動き等攻撃にもう一工夫欲しい。

攻撃スタッツ - 宇佐美 貴史

〇MVP

わかっている男、宇佐美。

ガンバの選手の中で一番サッカーというものを理解している。が故に全てを背負いすぎ。

怪我が心配。

攻撃スタッツ - 福田 湧矢

ルヴァンでの好調そのまま。アシストも記録。

宇佐美の怪我が長引くようであれば今後更なる飛躍が求められる。

今更ながら彼の適正ポジションは左のSHかWGか。

以前、2023 J1第3節 神戸 4-0 G大阪 レビュー その2

https://sporteria.jp/blog/baggio1813/7038135653653024769

このページでウイングのタイプに関して書いた事があったが

福田はテクニックタイプかな?

ならば後半、逆サイドに杉山の投入も見たかった。ファンサしてたけど。

怪我かな?

攻撃スタッツ - 鈴木 武蔵

一対一を外してしまったのは痛い。ポストプレイは放棄してひたすら裏狙いに徹してはどうか?

監督は良く思わないと思うが、どのみちジェバリが帰ってきたらスタメンは・・・


今のガンバに必要なもの

速攻と遅攻の使い分け。

今のガンバが行っているのは只の遅攻一辺倒である。

メリハリが必要。

早めのサイドチェンジ

弦太が何故かサイドに散らしているが、もう一列前で人一人飛ばすパスを。

半田→弦太→江川→黒川のただの横パスはもう見飽きた。

半田が見せた様なサイドチェンジをもっと見たい!!