前節、新型コロナウイルスの影響により試合がなかったサンフレッチェ広島。

中9日で迎えた第8節、広島は第2節以来の勝利を目指し、横浜FCとのアウェーゲームに挑みました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

システムは両チームともに3バックを採用。広島はチームのトップスコアラーであるレアンドロペレイラが今季初めてスタメンから外れ、1トップにはドウグラスヴィエイラが入りました。


積極的な守備

序盤、後ろからつないで攻撃してくる横浜FCに対し、広島は積極的にプレスをかけていました。特に相手のゴールキック時には1トップ2シャドーの3人がペナルティエリア内からプレッシャーをかけ、ボランチも高い位置を取っていました。横浜FCはゴールキック時に右ウイングバックのマギーニョがハーフウェーライン付近まで上がり、シャドーの松浦拓弥が右サイドの低い位置に下がってパスを受けようとするなど、中盤の選手が流動的に動いていました。

8分のゴールキックでは、松浦(上図の7番)が低い位置に下がり、左シャドーの手塚康平(上図の30番)は右サイドに流れてきていました。それに対して広島はセンターバックの佐々木翔(上図の19番)と野上結貴(上図の2番)が高い位置までついていきフリーにさせていませんでした。広島は積極的な守備でボールを繋がせず、主導権を握っていました。


最終ラインのギャップ

ボールを持つ時間が多かった広島はパスを繋ぎながら、ディフェンラインの背後を狙っていました。

17分、左サイドで藤井智也(上図の50番)がパスを受けた時に東俊希(上図の24番)が藤井に近づいていきます。この時、横浜FCの田代真一(上図の5番)が東についていったことで、田代と小林友希(上図の4番)の間に大きなスペースが生まれ、川辺駿(上図の8番)がそのスペースへ飛び出していました。パスは出ませんでしたが、相手の対応は遅れており川辺はフリーになっていました。

また、直後には右サイドでも同様のシーンがあり、川辺が最終ラインのギャップをついていました。この場面では飛び出した川辺へのパスからコーナーキックを獲得しており、最終ラインの背後を狙う動きが目立っていました。

22分にはディフェンスラインの背後へのパスから得点が生まれます。左サイドに流れてきた森島司(上図の10番)の前方へ、東(上図の24番)が浮き球のパスを送ります。森島はうまく入れ替わって相手の前へ入り、ゴールエリアの角付近でトラップ。相手と競り合い倒れ込みながらもシュートを放つと、ボールはゴールの中へ。森島の得点で広島が先制しました。

東が低い位置まで下がったことで田代(上図の5番)はポジションを上げましたが、森島の飛び出しを警戒して最終ライン近くに戻りました。その結果、東がフリーとなり、プレッシャーを受けることなくパスを供給することが可能になりました。何度も狙っていた最終ラインのギャップを森島が上手くついて得点。同サイドにポジションを取っていたシャドーの2人が広島に先制点をもたらしました。


コーナーキックの流れから追加点

リードした広島はその後も主導権を握り続け、横浜FCにチャンスを作らせず。37分にはコーナーキックの流れからヴィエイラが得点を決め、リードを2点に広げました。

コーナーキックのこぼれ球を拾った佐々木が青山敏弘へパス。青山がペナルティエリア角付近からクロスを上げると、ボールはファーサイドのヴィエイラに渡ります。ヴィエイラはクロスを胸でコントロールし、左足でシュート。角度はありませんでしたがゴールへ流し込み、得点を決めました。

青山がクロスを上げる時、横浜FCの多くの選手がボールウォッチャーになっており、ラインの高さが揃っていませんでした。そのため、ゴール前にいた広島の3選手についていた横浜FCの選手は2人しかおらず、広島にとって数的有利な状況になっていました。その結果、3人のうち最もファーサイドにいたヴィエイラはフリーでボールを受けることが可能となり、落ち着いてシュートを打つことが出来ました。

広島はこの試合、コーナーキックで何度かサインプレーを実行していました。広島は直近3試合でPKによる1点のみと得点力不足であり、得点を取るために準備してきたと考えられます。サインプレーが直接ゴールに結びつくことはありませんでしたが、なんとか得点を取ろうというチームの気持ちが伝わってきました。


横浜FCのシステム変更

ハーフタイム明け、横浜FCは一美和成ら3人の選手を投入しシステムを変更しました。守備時は4-4-2、攻撃時は4-1-2-3のような形を取り人数をかけて攻めてきました。後半立ち上がり、システム変更の影響もあってか広島は何度もペナルティエリアに進入されてしまいました。

52分、相手のクリアボールを処理した荒木隼人が左サイドで一美にボールを奪われカウンターを受けてしまいます。一美はペナルティエリア内までボールを持ち運んで、中央へパス。ゴール前には斉藤光毅と松尾佑介が詰めており、広島は野上1人が2人に対応しなければいけない状況でしたが、野上はなんとか足に当ててクリア。得点は与えませんでした。

直後には、キーパーを含めて攻撃を組み立てる横浜FCに対し、高い位置からプレッシャーをかけますがボールを奪えず、ピンチを迎えました。前線に人数をかけたため中盤にスペースが生まれ、そのスペースに下がってきた松尾にパスを通されてしまいます。広島陣内でパスを繋がれ、最後はペナルティエリア内から袴田裕太郎にフリーでシュートを打たれます。シュートはキーパーの正面に飛んだため大迫敬介がキャッチ。

後半開始から約10分間は横浜FCのシステム変更に対応できず何度も攻め込まれました。ただ、粘り強い守備でなんとか失点は与えず、2点差を保ったまま試合を進めていきました。


無失点での勝利

その後も横浜FCに攻め込まれる場面はありましたが、決定的なチャンスは作らせず。組織的な守備で得点を与えませんでした。決して防戦一方だったわけではなく、途中出場の永井龍やエゼキエウらを中心に3点目を狙う姿勢も見られました。また、第2節で負傷した柏好文が途中出場から30分程プレーしており、広島にとって重要な選手が復帰しました。

後半は両チームとも得点を奪えず。試合は0-2で広島の勝利となりました。この試合では今季2度目のスタメンとなった東の活躍が目立ちました。

    攻撃スタッツ - 東 俊希 ヒートマップ - 東 俊希

東は攻撃時にディフェンスラインの背後へ抜け出したり、下がってパスを受けたりと様々な所に顔を出して相手を混乱させていました。1点目のシーンでは低い位置でボールを持ち、森島の得点につながるパスを供給。後半にはハーフウェーラインからクロスバー直撃のロングシュートを放つなど両チーム最多の6本のシュートを放ちました。ただ、前半に複数回あったゴール前でのチャンスを決めきることはできず、得点は取れませんでした。攻撃面で非常に良いプレーをしていたので、次節以降、東のゴールが生まれることを期待したいと思います。


総括

基本スタッツ

前半は広島が主導権を握り、最終ラインのギャップをついた動きとコーナーキックの流れから2得点。後半はシステム変更した横浜FCに攻め込まれる場面が増えましたが、シュートを打たせる場面は少なく無失点での勝利となりました。ペレイラが負傷でベンチ外になったことは心配ですが、エゼキエウと柏の復帰やシャドーに入った東の活躍はチームにとって好材料だと思います。


次節は8/9(日)、ホームで湘南ベルマーレと対戦します。

水曜日にはルヴァンカップもあるため中3日での連戦となりますが、ターンオーバーを上手く行ってチームの総合力を見せてほしいです。