前節は前半だけで3失点を喫したサンフレッチェ広島

リーグ戦1ヶ月ぶりの勝利を目指した第13節では、アウェーでサガン鳥栖と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

鳥栖は前節と同じ11人を起用。ミッドウィークのルヴァンカップでは大幅にメンバーを入れ替えており、スタメン全員が1週間ぶりの試合となりました。一方の広島は前節から2人を変更。キャプテンの佐々木翔とルヴァンカップで得点を挙げた鮎川峻が先発出場となりました。


スタッツ

基本スタッツ

試合は0-0の引き分けに終わりました。シュート数・枠内シュート数は互角。パス成功数やボール支配率では鳥栖が大きく上回る結果となりました。

鳥栖はリーグ戦4試合ぶりの無得点で4連勝とはならず。一方、広島はリーグ戦6試合勝ちなしとなりました。

ゴール期待値

最終的なゴール期待値は鳥栖が1.27、広島が0.68となっており、約0.6点分の開きがあります。

序盤は広島が15分までに4本のシュートを放ち、相手の処理ミスから鮎川が決定機を迎えたり、森島司のフリーキックがポストを直撃したりと、先制のチャンスがありました。広島としてはこの時間帯に得点しておきたかったです。

一方の鳥栖も、44分に林大地のシュートがポストを直撃。また、最もゴール期待値の上昇量が大きい83分のシーンでは中央での崩しからチャンスを迎えましたが、ゴールを決めることはできませんでした。


森島のハーフスペース

前半、広島の攻撃でキーマンになっていたのは森島でした。

広島のビルドアップ時、鳥栖は2トップに加えてインサイドハーフの2選手も高めの位置でプレスをかけていました。その際、鳥栖の中盤は松岡大起1人となっており、松岡の脇にはスペースが生まれていました。そこにポジションを取っていたのが森島であり、森島は何度もパスを受け前を向いていました。

18分には自陣左サイドで鳥栖の前線4枚の背中側で森島がボールを受けたことで、松岡が中央からサイドへ動かなければならず、その動きによって今度は中央にスペースが発生。そこに走り込んだ川辺駿が森島からのパスをワントラップ後、鮎川へスルーパスを送りチャンスを作りました。川辺がボールを持って前を向いた際には浅野やエゼキエウといった選択肢もあり、非常に良い攻撃だったと思います。

また、36分のシーンでは中央寄りのスペースでパスを受けると、素早く前を向いて鮎川の前方へパスを供給。惜しくも繋がりませんでしたが、通っていればチャンスになっていた場面でした。

攻撃スタッツ - 森島 司   ヒートマップ - 森島 司

森島が鳥栖のアンカー脇のスペースでパスを受けることによって、アンカーが寄せてくれば中央が空き、インサイドハーフやウイングバックが絞ってくればサイドバックの東俊希がフリーになるという状況を作れていました。

後半は鳥栖に押し込まれる時間が多かったこともあり、前半よりかはスペースで受ける機会は少なかったです。ただ、その分守備面で奮闘。ヒートマップにも表れているように、自陣深い位置で飯野七聖のクロスをブロックしたり、体を入れてマイボールにしたりと、守備での貢献度も高かったです。タックル3回、ブロック4回はどちらもチーム最多であり、攻守両面でチームを支えていたと思います。

守備スタッツ - 森島 司


鮎川の抜け出し

広島の攻撃でもう1選手印象に残ったのはリーグ戦2度目の先発出場となった鮎川です。

攻撃スタッツ - 鮎川 峻   ヒートマップ - 鮎川 峻

鮎川は得点こそありませんでしたが、何度も最終ラインの背後へ抜け出してパスを受ける場面が見られました。ヒートマップ上のボールタッチ位置は右サイドの方が多いですが、裏への動きは左サイドの方が多かった印象です。裏へ動くタイミングやコース取りが非常に良く、常に相手よりも先にボールに到達していました。

ただ、相手の背後を取った後のプレーに関しては課題が見られました。トラップが大きくなってしまったり、ボールを相手に近い位置に置いてしまったりする場面が何度もあり、シュートに繋げることができていませんでした。

鮎川は守備意識も高く、プレスのかけ方などは非常に上手です。なので、抜け出した後の細かい技術が改善されれば、間違いなくスタメンに入っていけると思います。現状、チームは得点力不足の状態なので、個人的には鮎川が救世主になってくれることを期待したいです。


最後に

後半は鳥栖に攻め込まれていましたが、センターバックの2選手を中心に守りきりクリーンシートを達成。今季好調の鳥栖相手にアウェーで勝ち点1を取れたことはポジティブに捉えていいと思います。ただ、得点が取れていない状況は続いており、深刻です。連戦の疲労もあるかとは思いますが、次戦こそ勝利してほしいです。