基本スタッツ


まずはスタッツから。

シュートは鳥栖が圧倒。

枠内シュートも、走行距離も。

パス数と支配率だけが下回る。

ポゼッションが目的じゃないよ?という鳥栖

ゴール期待値

試合の印象通り、後半からゴール期待値は上がり続けた。

最後までゴールは鳥栖に生まれる雰囲気があった。


パスソナー・パスネットワーク


エドゥアルドのチートは置いておいて笑

♨︎がいかにキーになっていたかが分かるパス交換図。

何気にソッコの貢献度も見逃せない。


パスソナー・パスネットワーク


対する徳島は福岡の負担が多い、、というより後ろでしか回せなかったという証左。

特に後半は鳥栖のプレスに苦しんでロングしかなかった。



では戦評!


サガン鳥栖 対 徳島ヴォルティス

2−0(山下、仙頭)


「強さ」とは?

決定力の正体とDFの「ミス」の違いの差

先発は上図の通り。

前半は♨︎がやや右にいた。

前半の♨︎は近所の銭湯だった。


プレビューで書いた点と違っていた所があった。

・徳島は繋いでくる

 ⇨GK含めて繋いできた

・プレスをかければ鳥栖のプレスなら奪える

 ⇨GKを逃げ所にして早めにロング蹴る事でプレスを無効化してきた

・鳥栖と局面での個の戦いなら優位になるはず

 ⇨なんか鳥栖が構えちゃう場面が多く、強度やスピード含めて徳島が上回った


この徳島の予想外のロングと、プレスに負けない強度により鳥栖は苦戦する。

ボールを持てず、ロングを「蹴らされ」た。

徳島はフリーで自由な状態でロングを「蹴って」きた。


前プレに引っかかることもあり、宮代が打ったシュートは今日のハイライトの一つだっただろう。


鳥栖の良かった形はこの2つ。

プレスにくる徳島を利用して、飯野と樋口が右に引っ張り、藤原が本来は中のコースを切るべきところを外に気を取らせて、林に通したシーン。


こっちも人は違うけど、外に小屋松(と中野も)が引っ張って、林が大外から入ってくることで、CBとSBの間に山下が受けて、反転シュートしたシーン。


どっちもプレスには食いつく、ということ

そして最後に単純なロングボールをクリアミスして林が打ったシーンと、

飯野のアーリークロスがDFが数的優位なのに、クリア仕切れず山下に通ったシーン。


これらが後半の伏線だった。


つまり


「簡単なボールでもゴール前で慌てると徳島DFはミスが増える」


これに気づいたことと、繋いでくる徳島をリスペクトしすぎた鳥栖が「奪いにいく」強さを思い出したこと。

これが後半の圧倒に繋がった。


しかしそれでも予想以上に苦しみまくった前半だった。

サイドで優位に立てない

樋口も足元のミスが多く、苦しんでいた。

今日はスピードやフィジカル勝負になることが多く、それなら樋口を変えることも、と思ったほどだった。


後半。

相手のボランチに対して縦パスが通れば遠慮なく2人、3人で囲んでくる鳥栖。

これで奪ったボールを松岡、樋口から山下に通す。

ワントラップで右足アウトで置いた時点で勝負あり!


シュートはDFに当たりながら先制ゴール!

1−0とリードする


後半の変貌の理由は上記のとおりだが、大きく変わったのは♨︎。

後半はやや左に位置して、小屋松、中野と絡んでいく。

そしてプレスの強度を強めるとともに、プレスの仕方も変わった。


前半は林と山下が最前でプレスしていた。

後半は、こうやって樋口がCBにプレスに行くことが多くなった。

開いたCBへのプレスを4−4のアウト気味の樋口がいくことで、ボランチのケアを林が見ることが出来るようになった。

これが徳島が繋ぎにくくなった要因。


この中のボランチへのパスコースを切りながらプレスするのが格段に上手いのが林と山下。

それにより、サイドの小屋松と樋口は遠慮なく前に前にプレスに行けるのだ。


そして、前プレが効くようになったので、徳島は「蹴らされる」ロングが増えた。

それなら、とエドゥとソッコは跳ね返しまくる。


そして♨︎が拾いまくる。

後半はまさにスーパー銭湯だった。


そして正しく押し込むと事故も起きる。

CKから♨︎がラッキーな押し込みを見せて2点目!


この辺は「守備陣がゴール前でミスしやすい」というところ。

シュートの時もそうだが、簡単なボールであっても、弾いてしまう。

クリアできない、そういうシーンが目立った。


繋ぐところや、局面での強さは見せるのだが、ボール絡みでミスが出てしまう。

そういう細かい差があったのは事実。


2−0になった鳥栖は中野Fと大畑、相良まで投入


その大畑がいい突破からクロス!

バックステップを踏みながらファーでフリーになった林だったが、これは体制が崩れてシュートはバーの上!


3点目はならずも最後はドゥンガを試す采配でしっかりと勝ち切った。



選手評


極上★★★

仙頭

配置の変化とプレスの強度アップで後半圧倒の立役者に。

ボールを持てば活きたパスを出し、セカンドボールの回収も凄まじい。

取られない持ち方と、運動量に技術。

ラッキーとも言えるゴールはまさに正当な報酬だった。


山下

貴重な先制ゴール。だけじゃない貢献度が高すぎる件。

後方からのヘディングは、ほぼ競り勝ち納めどころと、プレスの掛け方が秀逸。

シュートのときの置き所はセンスの塊。

それだけにあっさり奪われることもあるだろうが、今日は全て良い方向に。


林 

あえて、ここで林を「極上」評価にする。

僕のブログを読んでくれてる方なら分かるかもしれないが、後半のプレスの「掛け方」の変化と、あえて「収まり所」になる仕事量が半端ない。

この試合を変化させた立役者と言える。

最後のシュートが外れたのだけが残念だったが、ボランチを無効化するプレス、GKまで敢えて行かない網の貼り方。

さらにカカとの激しいバトルで一歩も引かない強さでDFラインを押し下げた。



良き★★

松岡 

まず徳島が松岡を使わせないプレスをしてきたことに触れないといけない。

それほどまでに警戒されていた。彼が持って囲まれても運ぶことで前が数的優位になる。そういう鳥栖の強さを出させないように松岡へのパスコースだけは切る!という徳島。

それなら、とパスの出し手は仙頭に任せて松岡は狩役として機能させた後半。

彼らの役割分担や状況をみてやり方を変える能力は素晴らしい。


ソッコ 

苦しい前半を耐え切ったのは彼の功績も大きい。

個が晒される局面で1度も負けず。

シュートを満足に飛ばさせない守備は珠玉。


エドゥアルド

ほぼソッコと同じ貢献をしていたが、苦しい時に難しいパスを出しがちなのは気になる。それを補って余りある好パスも連発。

 

パギ 

今日もしっかりと「パギ」ってた。

広い守備範囲で後方を支えた。

ロングキックが合わない場面もあったが、これだけボールをもつことで打開。

そういう意味で徳島のGKも褒めるべきだろう。

面白い試合だった。


樋口

前半の出来では交代もやむなし。

しかし、後半ギアを上げて、強度を増すところに、彼の意地をみた。

決してうまくいってた試合ではないが、結局はアシストを記録。

10番として「何かを残す」というところを評価したい。


☆大畑 

途中出場ながらスピードのある守備でしっかりと締めた。

さらに攻撃でもあわやアシストのクロスも。

もはや中野との19歳17歳の競争が激しすぎて笑えない。


☆中野F

何よりも樋口に変わったところで、しっかりと「誰に」「いつ」行くのかのプレスがとても向上していたことが◎

それによりボールを受ける位置もよく、右から左から幅広くプレーに関与した。

これは攻撃を活性化させる駒として十分に計算できる存在に!



及第点★

飯野

右からの攻撃が難しい試合だった。

それでも守備では手を抜かず、彼の特徴が出にくいなかでも貢献した。

こういう試合はSBとして非常に重要だ。

この試合の評価は及第点だが、彼の評価は爆上がり中。


中野

ちょっと疲れからか、慣れからか、ちょっとしたミスが目立つように。

それでも守備では変わらず強度を発揮し、ワンフェイクでボランチに通すなど、技術の高さも見せつけた。

もっと出来るはず、という17歳を見る目じゃない目で彼を見てしまう。

それはもう完全に中野くんが悪い。

だって凄すぎるから。


小屋松

いつもごめんね、と思う彼のタスク量。

SBの外を埋めるし、攻めてはトップ下まで張り出して中野の上がりを促す。

大変すぎだろ、、、

小屋松が打ち手に回れる攻撃じゃないのが本当に申し訳ないが、彼でなければこのタスクはこなせない。


☆ドゥンガ

ルヴァンでみせた柔らかさ、ワンタッチのうまさを見せた。

この時間で出れば深い位置でキープするだけでも貢献となる。

使いやすいなぁ。



がんばれ!

☆相良

もうドリブルしたくてたまらない。

いい技術は見せたが、それが試合に貢献する形ではなかった。

まあこの時間だし、問題はないのだが、もう少しいい攻撃を見たかった。




苦しい試合をしながらも、CBの質の差と押し込む強さで勝ち切った鳥栖。

これは「決定力の差」というより「守備の個人能力の差」だと思う。

素晴らしい試合をした徳島は、負けるような試合じゃなかった。


しかし、しっかりと勝ち切った鳥栖は、また一つ自身を手にした。