何やらブログコンペをやっているらしいので、J1のレビューを書いてみる。


横浜FCは昨年、シーズン開始直後に監督が交代。下平監督になってからの平均勝ち点は約2.2(29試合)で、優勝した柏の2.0(42試合)を上回る。


対する札幌もペドロヴィッチ体制に変わって3年目。昨年はルヴァンカップでも準優勝を果たし、勝負をかけるシーズンだ。


スタメン


フォーメーション図

横浜FCは昨年ルーキーながら攻撃をけん引していた中山をベンチスタートに。

ポイントは昨季同じJ2でプレーしブレークした志知(元水戸)、一美(元京都)の移籍組か。

フォーメーションも昨季の4-5-1から3-5-2へと変えてきている。


フォーメーション図

札幌は昨年とほぼ変わらないメンバー。

中断期間でGKのク・ソンユンが退団してしまったが、昨季のベースがあるので大崩れはなさそう。


前半の安い失点


前半開始直後の3分。札幌が早くも先制点。

自陣ペナルティーエリア付近でボールを奪取してからのロングカウンター。

素早くボールを展開して、左サイドのチャナティップへ。

横浜FCは2名でチャナティップをチェックに行くが、寄せが甘く簡単に中にグラウンダーのクロスを入れさせてしまう。

中央で待ち構えていた鈴木武蔵がシュート。DFの跳ね返りを自らプッシュして先制点。


横浜FCからすると、もう少し何とか出来たであろう、開始早々の安い失点となってしまった。


一方の札幌も、前半16分。横浜FCのアンカー、佐藤謙介からのグラウンダーのフィードを中央、一美に簡単に通されるとCDFである宮澤と進藤の間を簡単にすり抜けられてしまう。


キーパーとの1対1を破られ失点。


宮澤は元々ボランチの選手で、おそらくポゼッションと組み立ての能力を買われてこの位置に起用されていると思うが、ここはファウルしてでも止めるべき場面だった。


横浜FCの攻撃の狙い


昨季からフォーメーションを変えた横浜FC。攻撃の狙いはポゼッション時の両ウィングの立ち位置に如実に表れていた。


一旦、ボールポゼッションを得ると、両翼がほぼ相手の最終ラインと同じくらいの高い位置にポジショニングする。


両翼で相手を押し込むと同時に相手のライン幅を広げて、中央へのフィードを差し込む角度を創り出し、ここで、一美、斎藤、松浦などが受けてコンビネーションでの突破、または、一度相手を中央に絞らせてからワイド、という展開。


アンカーの佐藤を中心に、スムーズなボール回しから複数のチャンスを作り出せていた。

前半いくつかあったチャンスで2点目を奪えていれば、展開はまた違ったかもしれない。


後半開始直後、またも簡単な失点


前半、リズムよく終えた横浜FCだったが、後半も開始10分以内の早い時間帯で失点を喫してしまう。


後半8分、鈴木武蔵にDFの間をスプリントされたところに、中央からチャナティップにスルーパスを通され、綺麗に抜けだされてGKの1対1を制される。


前半最後の15分の攻撃の良いリズムを繋げられず、先に失点してしまうという何とも残念な展開となってしまった。


今季ならではの交代策


失点後、なかなかリズムの戻らない横浜FCは後半20分に両ワイドとCFWの一美3人を一気に交代させる。

ただ、これはリズムを変えるというよりはあらかじめ予定されていた交代に見えた。


今季の超過密スケジュールを考えれば、これは致し方ないか。

その後は、特に反撃もなく、後半のシュートはわずか2本に終わった。


戦い方含めて、ここで何が何でも勝ち点を、という流れにならないのは今季ならでは。

J2降格しないので、無理をするよりも多くの選手を試してJ1で戦えるベースを創ることの方が来季に向けて大事だろう。


基本スタッツ


試合全体を通じて、横浜FCの戦い方は興味深かった。

去年のベースを伸ばすというよりは、J1で、降格の無い中で、チームを新たなステージに導くための仕込みが見て取れる内容。


今後の下平監督のかじ取りに期待がかかる。