レビューのコンペをやっているということで、スコアレスドローでしたが内容の濃かったこの試合について書いてみます。

私は横浜FMの大ファンというわけでは無いので、サポーターの方ほど詳しくなくて恐縮ですが、この試合をみていて「やっぱり強いな」「厄介だな(誉め言葉ですよ)」と感じた点を幾つか。

※間違ってたらゴメンなさい&教えてくださいね


フォーメーション図


1.タッチライン際への展開&内側のレーンへの走り込み


まずサイド攻撃が厄介すぎますよね。左の遠藤、右の仲川、どちらもドリブルで突破できる能力を持ちつつ、個の能力に頼っているわけではない。

1番困るのが、

・中央にボールが来た時に、サイドの選手がタッチライン際まで開いて相手のサイドバックと距離を取る

・そこに斜めのパスが通る、距離があるのでパスが届くまでにそれなりの時間があり、相手のサイドバックも「それなり」の距離に詰めてくるが寄せ切れる程ではない&センターバックとの間にスペースができる

・そのパスが届くまでの間に、2列目の選手が1つ内側(ゴール寄り)のレーンを縦に走り込む

・大外の選手はダイレクトでパスを出すこともできるし、囮に使って中にカットインすることもできる

というパターン。

時間差を意図的に使っている感じがします。(もしかしたら大外に出すパスのスピードも敢えてコントロールしてるかも?)


2.同一射線上へのポジショニング


縦パスやクロスを入れる時に、そのパスの射線上に複数の選手がいることが、それなりの頻度であると思います。例えば、

・試合開始直後の仲川のマイナスのクロスに対して2人、手前でスルーが入って奥の選手がシュートを狙う

・後半3分、遠藤がエリキの位置を見ながらちょっと下がりつつ縦パスを引き出し、ボールホルダーとエリキとの同一射線上に入ってスルー(これはカットされてしまい繋がらなかった)

といったシーン。


もちろん、この動きをすれば必ずチャンスになるというわけではないのですが、ボール保持率を高めて相手を押し込んでパスを回す中で、意外性を作り出すことができますし、相手陣内に多くの選手を送り込んでいるからこそできることでもあります。「ボールは持っているけど崩せない」とならないように、色々な工夫をしている中の1つではないでしょうか。


3.クロスの量と質


https://www.football-lab.jp/y-fm/?year=2019

から引用


去年はクロスの数が1試合平均17.5本で1位でしたが、今年はまだ数試合とはいえ、

https://www.football-lab.jp/y-fm/

から引用


1試合平均26.7本!どこのマンUだよって感じ。


この数の多さの理由として、

・クロスは絶対にゴールキーパーに取られないように

・ピンポイントで合わせようとせず、逆サイドに抜けても

・そのかわり、逆サイドには必ずフォローの選手が入る

・逆サイドからまた入れ直す

といったことを意識しているのではないかと思います。


4.敵陣深い位置でのスローインの守備


意外とここが他のチームと一番違うんじゃないかという気もするんですが、敵陣深い位置(いわゆるアタッキングサード)で相手のスローインになった時の人数の掛け方が凄いなと。もちろん他のチームもビハインドだったり残り時間が少なければ人数を掛けるのですが、横浜FMの場合は時間帯関係なく、「取りきってシュートまでいってやるぞ」と自分たちのセットプレーのチャンスかのように考えているように見えます。

たしかに相手はスローワーがピッチの外にいるので1人少なく、下手にボールを失うとすぐにシュートまでいかれてしまうので、嫌ですよね。もっとも、前半44分のように相手にうまく外されて逆サイドまで展開されてしまうと、一気にゴール前まで攻め込まれてしまうのでハイリスクな面があることも否めません。それも踏まえて、トータルでプラスだと考えているんでしょうね。


ここまで書いてみて、選手の能力が高いだけでなく戦術もしっかり練られていて、多少攻撃への比重が高い部分はリスキーですが、穴の少ないチームだなと改めて感じました。


それでは、他のチーム視点で横浜FMへの対策を考えるとしたらどうでしょう。


1.逆サイドへの長いボールで打開


試合開始直後から対戦相手の浦和も狙っていましたが、やはりマイボールになった後に横浜FM的にはスペースが空いてしまう逆サイドに長いボールを送り込む、というのが鉄板だと思います。浦和もこの試合だけで10回近くやっていましたかね?シュートやシュート寸前までいったシーンも幾つかあったと思います。

もちろん、逆サイドにパスを通せるだけの技術と、そこを使うという共通認識が必要になります。


2.ゴールキーパーを交えたビルドアップに対するプレス


第1節でG大阪がゴールを挙げた形ですね。

これもやり続ければ1試合に1回は(横浜FMが)やらかしそうな気がしますが、下手にプレス掛けて抜けられると一気に横浜FMの攻撃の形ができてしまうので、それに付き合うのか要所だけやってやらかしを狙うのか、試合展開や状況によっても判断が分かれるところかと思います。


3.カウンターはラインの裏…だけでなく、サイドに起点を


この試合、浦和はカウンター時に横浜FMのディフェンスラインの裏を積極的に狙っていました。ただ、前に残っているのが興梠1人で、横浜FMはCB2人が残っている状態で真ん中の裏を狙っても、1対2ではなかなかどうにもなりません。(32分、36分のシーンなど)

やはり、どちらかのサイドに流れてCBと1対1の状態でボールを収めて起点を作り、後ろからのサポートを受けてカウンターに繋げたいところです。


今回は以上です。非常に面白い試合でした。

また面白い試合を見たら、ブログを書きたいですね。