前半0-3から後半に追いつき、首位チーム相手に貴重な勝ち点1を手に入れたザスパ。

あわや逆転かという惜しいシーンを何度も作り出し、達成感とともに勝てたかもしれないという悔しさを感じる一戦となった。


本記事ではこのスコアが持つ意味と、私的注目選手をあげていく。


基本スタッツ


3-3が持つ3つの意味


3-3というスコアは、3つの意味で重要な意味を持つ。


1つは、2-3での惜敗からの脱出。

群馬はここまで、新潟・長崎に2-3で負けている。

圧倒的タレントを持つチーム相手に、あと1点追いつけず惜敗という戦いが目立っていた。

今節は、2-3の負けを3-3の同点に、勝ち点0を勝ち点1に変えられた試合といえる。

戦い経験する中で、チームの完成度が高まっている証拠だろう。


2つ目は、3点ビハインドからの同点劇

群馬は前節、後半に3点を取られ2-3で負けるという大逆転劇を食らっている。

今節は、群馬が後半に3点を決めた。まさに前節でやられた逆転劇を、こちらが演じているような光景だった。

前節の悔しさを自身の力に変えられるチームだといえる。


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3つ目は、新しい歴史を刻んだこと

前半0-3から追いついたのはクラブ史上初だそうだ。

群馬は現在9位。チームのJ2最高順位も9位(2009年,2011年)

最高順位の更新といった、歴史の歩みを進める可能性を秘めたチームなのだ。


では、後半の同点劇はどうして生まれたのだろうか。




加藤潤也を後半から投入


ゲームのターニングポイントは、後半開始のダイナミックな選手交代とダイナミックなポジションチェンジだった。

ポジションチェンジはこの通り、

  • 加藤潤也:投入→左シャドー
  • 奥村晃司:投入→ボランチ
  • 山根永遠:右WB→左WB
  • 内田達也:ボランチ→右CB
  • 小島雅也:右CB→右WB


加藤・奥村はボールをうまく散らし、

山根は得意の左サイドでドリブル突破を繰り返した。

内田は自身でボールを運び配球するという、ボランチの経験が活きるプレーが目立った。

小島は高い位置でボールを奪い、カウンターの機会を作り出した。

このポジションチェンジで、群馬はよりボールを持てるような、より攻撃的な布陣となった。



攻撃スタッツ - 加藤 潤也攻撃スタッツ - 山根 永遠

攻撃スタッツ - 奥村 晃司



後半の3得点には、共通点があった。

それはアグレッシブな守備から攻撃が始まった点だ(下記)。

  • 1点目:小島が内側のレーンで長谷川からボール奪取
  • 2点目:畑尾が渡邉の降りる動きに果敢についていく
  • 3点目:奥村が50:50のボールで手塚に果敢なタックル


相手のポゼッション中にアグレッシブな守備をするからこそ、相手の立ち位置が乱れ、攻撃が決まりやすい形となった。

アグレッシブな守備はハイリスクではあるが、これを前半からできていれば、勝ち点が3になった可能性もあるだろう。


最後に、このアグレッシブな守備を前半から続けていた、私的マン・オブ・ザ・マッチを紹介したい。


ゴールを阻む紺碧の獅子


今季初スタメンとなった、【ゴールを阻む紺碧の獅子】渡辺広大。

左CBとして、相手右シャドーの小川航基と対峙。

激しい空中戦やブロックで、何度も脅威を退けた。ストライカー小川には1点も許さなかった。


特に、渡辺広大は、1列前に出て相手の選手を潰す動きを前半から繰り返した。

これは前節の3バックでは見られなかった動きだ。

チャレンジがしやすい3バックの利点を活かしていた。


この渡辺広大のアグレッシブな守備が、チーム全体に浸透したのが後半だったと考えている。

経験豊富なベテランの姿勢やマインドが、若い選手に伝わって素晴らしい試合となった。


さて、0-3から追いつき勝ち点1を手に入れた、首位横浜FCとの死闘を振り返った。

選手交代をきっかけに、チームの動きが大きく変化した点がポイントだった。

選手交代なしに、チームのギアをあげること今後の課題といえよう。

もし、前半40分からギアチェンジできていれば、3-2や4-3で勝てていたかもしれない。


ただ、2-3で負けた新潟戦や長崎戦を思い返すと、しっかり同点にできたのはチームの成長の証である。

ベテランの経験と若い選手の勢いの相乗効果で、新しい歴史を積み上げていくザスパクサツ群馬に注目していきたい。


守備スタッツ - 渡辺 広大

攻撃スタッツ - 小川 航基