夏休み真っ只中の一戦。来場者は5000人弱と、ホームでは今季2番めに多い来場者数を記録した。1位の新潟戦ではアウェイサポがかなり多くいたことを考えると、ザスパを応援する人が今季一番多かった試合といえるだろう。

スタジアムは異例の人だかり。配布予定の20周年記念Tシャツも、登利平を代表とする人気スタグルも売り切れた。私は現地に見に行ったが、どちらも手に入れることができなかった(泣)。


そんな今季最高の舞台で行われた試合で、0-3という今季ワーストの点差で敗北を喫した。

開始2分にバックパスのミスから失点し、試合を難しくしてしまった。

想定外のスタグル列に苦戦していた私は、ファンの落胆を入場ゲートで聞いた。応援をはじめる前に歓声は悲鳴に変わっていた。



基本スタッツ


ゴール期待値


スタッツを見ると、支配率とパス数では上回り、シュート数は互角、ゴール期待値もそれほど大きな差が見られない。

この互角に思えるスタッツにこそ、千葉の試合巧者ぶりがうかがえる。

本来ザスパが記録したいスタッツを千葉が記録。お株を奪いまさに"完勝"といえる結果となった。

どういうことか、5節の千葉戦(アウェー)を振り返りながら説明する。




やりたいサッカーを、そのままやられた


5節の千葉戦と今節について、基本スタッツを比較する。上が5節、下が今節だ。

注目はパス成功数とボール支配率だ。

そっくりそのまま逆転したような数値になっていることがわかる。


先制し、しっかり守る。攻めあぐねた相手は得点につながらないパス回しが増える。

同じシナリオを別チームがなぞる結果となった。

(※シュート数の違いは、選手個人の能力の差の結果だと捉えている)



基本スタッツ 基本スタッツ



5節の千葉は攻めあぐねた結果、35本のクロスをあげ、城和と畑尾が計27本を跳ね返すという見たことないようなスタッツを記録した。

同様に、30節の群馬も攻めあぐねた結果、確率の低いクロスが目立つ結果となった。新加入でスタメンに抜擢された高木は、独力で突破し左足でクロスをあげるという自身の武器を披露した。しかし、PA内に枚数が足りていない場面も多く、まるで確率の低いクロスをあげるように誘導されている印象も受けた。



5節の城和と畑尾

守備スタッツ - 城和 隼颯守備スタッツ - 畑尾 大翔


30節の高木

攻撃スタッツ - 高木 友也



ザスパのやりたいサッカーを、まさに実行してきた千葉。ポイントは5節と大きく変えたスタメンだろう。

ボランチに配球に長けた田口と小林を起用しボール保持局面を安定させた。シャドーで起用された風間宏矢は加藤潤也や風間宏希を消し続け、ザスパは大外から攻めるしかなかった。


風間宏矢が「(城和のバックパスを)狙っていた」と試合後インタビューで語っていたように、千葉が用意周到に準備してきたことがわかる。

試合開始や前半修了間際の得点は、この準備のよさから生まれたものだといえる。ザスパは千葉のを上回る準備をできていたのだろうか。そこには疑問が残る。



フォーメーション図

フォーメーション図



以上、千葉戦を振り返った。

この試合には5000人弱の観客が駆けつけた。初めてザスパの試合を見る人もいただろう。

そんな今季最高のスタジアムで、0-3というスコアはもちろん、やりたいサッカーを相手に演じられるという中身でも醜態を晒す結果となってしまった。


ザスパは自身が用意した展開では強さを発揮するが、予想外の試合展開では弱い傾向がある。

いま応急処置としてできることは、選手ひとりひとりが具体的なシチュエーションを思い浮かべて準備を行い、今日のような失点をなくすことだろう。


夏休み期間にはホームゲームが2試合残っている。どちらも今節のような客足に恵まれるかもしれない。ザスパ初心者がもっと興味を持ってくれるような、忘れられない素敵な思い出として胸に刻まれるような、そんな試合を期待したい。