横浜FM10戦目。

現在首位で横浜FMとは相性の良い鹿島とアウェイでの対決となった。


前節までの対戦成績


試合を観ていない方はハイライトをご覧下さい。



結果は3-0で横浜FMの勝利。

CKからの得点で均衡を破ると、立て続けに追加点を挙げて勝負を決定づけた。


基本スタッツゴール期待値


目次

①完敗からの学び

②左サイドの試行錯誤

 1.ビルドアップ・崩し

 2.ネガトラ・ブロック

③ギャンブル

④終わりに



①完敗からの学び

前節の広島戦で中盤の並びを慣れた三角形ではなく逆三角形にチャレンジして完敗を喫した横浜FMであったが、前回のブログ(詳しくはここをクリック)でも触れたように失敗で終わらせずに新しい形として昇華させていた。


フォーメーション図


フォーメーションは4-2-1-3だったのだから、結局元の形に戻しただけでは?と思う方もきっといるだろう。

そんな方にこそ是非右下の図に注目して頂きたい。後半は確かに2ボランチに近い挙動をしているのだが、前半は明らかに岩田の1アンカーの形であったことが分かる。


フォーメーション図時間帯別パスネットワーク図


相手の2トップ+2ボランチという形に対して、あえて2ボランチではなく1アンカーの形に変え配置をズラすことでビルドアップの起点となっていた。

これは前節の広島戦でハイプレスにはまった失敗から得られた大きな学びであった。


攻撃スタッツ - 岩田 智輝ヒートマップ - 岩田 智輝


そしてビルドアップが安定したことにより、喜田や西村もむやみやたらに下がらずにライン間を陣取ることが可能となり、楔のパスを受けたりサイドでの崩しに関わったりとよりゴールに近い場所で猛威を振るっていた。


ヒートマップ - 喜田 拓也ヒートマップ - 西村 拓真


②左サイドの試行錯誤

試合を通して左サイドは攻守両面において苦労していた。


1.ビルドアップ・崩し

ビルドアップでは永戸が積極的に内側に入る横浜FMスタイルにチャレンジしているが、左WGでスタメン出場した仲川はエウベルと比べて低い位置でビルドアップに関わるのがあまり得意ではない


ヒートマップ - 仲川 輝人ヒートマップ - エウベル


そのためただ単に左サイドでサポートを作る選手がいなくなってしまい、左CBの角田からのパスコースが消えてしまっていた。

SBが中に入るタイミングやWGがビルドアップにどう関わるかは個人で解決する問題ではなくチームとしての問題なので早急に整理する必要がありそうだ。



ただ相手陣地に押し込んだ状態では中に入っても永戸は存分に持ち味を発揮する。

横浜FMお得意のポケットへのランニングやシュートなども出来る攻撃的な選手なので、左WGの選手と流動的に立ち位置を変えながら相手ゴールに脅威を与えられていた。


ヒートマップ - 永戸 勝也攻撃スタッツ - 永戸 勝也


2.ネガトラ・ブロック

また守備では鹿島のサイドからの速い攻撃に苦しめられる

鹿島はポジトラの瞬間にサイドにいる右SHのファンアラーノや流れてきたFWの鈴木優磨に向かってボールを運び、そこからアーリークロス気味に中へ放り込むというのを1つパターンとして持っていた。


攻撃スタッツ - ファン アラーノ攻撃スタッツ - 鈴木 優磨


またある程度相手の攻撃を遅らせることができてもタイミングよく攻撃参加してくる鹿島のSBに対して横浜FMのWGがついていかず、SB前のスペースからクロスを挙げられるシーンも散見された。

右サイドでは喜田がいるためにある程度のカバーが可能だが、岩田はあまりそういう場面での機転・スピードがなかったというのも一つの要因であろう。



③ギャンブル

さて硬直状態であった試合だったが、転機となったのは63分に行った鹿島の二枚替えであった。

鹿島についてあまり詳しくないので予想での話となってしまうが、おそらくこの2枚替えは定型的なものだった思われる。


(Football LABのデータを引用。左が松村、右が土居の出場時間。)


これによりゲームバランスが徐々に崩れ始める。

何が変わったのかというと横浜FMが苦労してた左サイドでの攻防が好転したのである。

途中交代で入ってきた右SHの松村が攻撃面では仕掛けが遅く、守備面では中に入る永戸の動きに簡単に釣られる

そのために横浜FMとしたらネガトラでの脅威が減り、またビルドアップでは角田⇒エウベルというパスコースが開くようなってペースを掴み始めた。


攻撃スタッツ - 松村 優太守備スタッツ - 松村 優太


そしてCKで先制点を奪われると鹿島は右SBの常本を下げて3バック気味に守ってギャンブルに出るも、その左サイドを立て続けに崩されてしまって万事休す。

ここでも松村の帰陣が甘くて穴になってしまっていた感は否めなかった



④終わりに

鬼門と思われていた鹿島でのアウェイ戦だったが、結果としては完勝であった。

前節の4-1-2-3への挑戦を無駄にせず上手く昇華できたことも大きなプラスであった。

この勢いのままACLも頑張って欲しい。

(ブログを書くのが遅くてとっくに始まっていますが…笑)