両チームのスタートは

YS横浜 4-4-2(中盤ダイヤモンド)

フォーメーション図

熊本   3-4-3

フォーメーション図

だった。

熊本の中盤は横並びの表記となっているが、攻撃時には

河原選手はアンカーの役割を担い、岡本選手はトップ下の役割を担っていた。


私はキックオフ前の予想として熊本が主導権を持ち、YSはカウンターを狙うと考えていた。


両チームとも前線からのプレッシャーをかけ高い位置ボールを奪うことを試みたが、前半20分間でその戦術が機能したのはYS横浜だった。熊本はプレッシングの際アンカーの選手を最前線の浅川選手がマークしながら両WGの選手がYSの両CBに対してプレッシングをかけていた。その戦術はうまく機能しなかった。YSはビルドアップの際、常に相手より数的有利を作り続け、そのうえで縦に早いサッカーを意識していたように見て取れた。それらに加えて、YSはチームとして常に球際に対して激しく当たっていた。このような戦術がうまく機能し、前半20分間のゴール期待値も熊本を圧倒するものになっている。

ゴール期待値

しかし熊本は前半20分のあたりからプレスのかけ方に変化を加えた。それまでアンカーの選手をマークしていた浅川選手がCBに対してプレスをかけ、アンカーの選手を岡本選手もしくは河原選手がチェックするという風に変えることでYSはビルドアップで数的有利を

作っても前半20分以前のように簡単に縦にパスを出すことが困難になっていった。そのため前半20分以降は戦前の予想どおりの展開になっていった。熊本は大木監督特有のポゼッションサッカーでボールを保持しながらチャンスメイクを行い、YSはカウンターでの得点を狙っていた。

熊本はYSの守備陣を崩すために右のストッパーのポジションの黒木選手も攻撃参加をし、より攻撃に厚みを持たせた。その結果として38分の杉山選手のポスト直撃のシュートなど多くのチャンスを作った。しかしYSも守るだけだけは攻撃時はボールを奪うと最前線2トップの選手に預けボールをキープし、そこからのカウンターでシュートにつながるシーンも作っていた。

前半総じていうと開始20分間はYSが主導権をとったがその後は一進一退の攻防が続き、終了間際には双方のチームにチャンスが生まれていた。


後半開始と同時に動いたのは熊本で左WGに樋口選手を投入し攻撃の活性化を試みた。


後半も前半20分以降と同様に熊本がボールを持ち、YSがカウンターを狙うという展開が続いた。

YSもその状況を変えるべく熊本にボールを自由に持たせないために前線から前半よりも激しく人数をかけてプレッシングをかけていった。

一方で熊本は常に前線からのプレッシングをかけより高い位置でボールを奪うという考えから中盤にボールの取りどころを設定し、前半のYSのように球際を激しくいくことでボールを奪い、ショートカウンターという狙いもあるように感じた。後半53分の杉山選手のチャンスなど熊本は持ち前のポゼッションに加えて、ショートカウンターでもチャンスを作った。

しかし、後半55分以降YSのボールに対するよせの速さはよりすごさを増し、体を張った守備・フィジカルの強さで熊本を徐々に苦しめ始めた。熊本有効なパスを前線の選手に供給することができない一方でYSは奪った後ンドカ チャールス選手にボールを預け、カウンターをするというシンプルな攻撃をし続けた。

後半70分以降はそのYSの守備も疲れが見え、熊本に多くのチャンスが来たが、それもYSが後半80分に3枚替えをするとまた激しさが戻り、YSも多くのチャンスを作った。

その激しさはアディショナルタイムにも続き、レッドカードが出される場面もあった。

しかし、両チームゴールネットを揺らすことができず

結果は0-0のスコアレスドローに終わった。

上記したように今回の試合は主導権がいったりきたりしていた。

両チームポストに嫌われるシーンもあるなど常に攻撃的な試合で0-0というスコア以上の内容だったように感じた。

今回の試合の結果を双方のチームはどのようにとらえているのだろう

「勝てる試合を引き分けにしてしまい勝ち点2を落としてしまった」なのか

「なんとか勝ち点1を手に入れた」なのか

「引き分けが妥当である」なのか

そのマインドの違いによって今後のシーズンを大きく占いかねない試合になったと感じた。

今回の引き分けは今後の両チームのシーズンを通しての戦いぶりを見ていく理由になる試合であると感じた。


最後に個人的な意見としてそんな中で今回の試合で改めてデータの面白さ・必要性やサッカーにおいてのフィジカルの強さの重要を感じた。

今回の試合は戦力差だけで見れば熊本が優位に試合を運ぶということは容易に想像ができ、

実際のスタッツを見ると基本スタッツ

ボール保持率やパスの成功本数は熊本が圧倒している。

しかしシュートという面においてはYSは熊本よりも良い数字を残しており、このことからYSはカウンターという戦術がうまくはまり数多くのシュートを放つことにつながったとわかる。この基本スタッツを1度見るだけでYSの戦術の行った戦術がわかってしまうデータの面白さと同時にスポーツにおけるデータの重要性を改めて痛感する試合だった。

またYSはそのカウンターという戦術を行う上でボールを奪ったら前線の選手特に11番のンドカ選手にボールを預けるシーンが多かった。ンドカ選手は何度もそのボールを体を使ってキープし、有効な攻撃へとつなげた。これはフィジカルの強さがあるからできる芸当である。この武器を持っているだけで格上の相手に対してでも多くのチャンスを作ることができるためフィジカルの強さはやはり重要な選手の要素であると再認識させてくれる試合であった。