監督交代初戦はウノゼロでの勝利。

J3リーグでは9チーム目の監督交代。そのほとんどが強化部からやコーチからの昇格で、前監督のスタイルを踏襲しつつバランスを調整した形になっている。9月に戦った福島の依田監督もで、服部監督のビルドアップのベースを活かしつつ、鋭いカウンターで仕留められた。

また外部からの招聘でも、コンセプトを変えずに戦っている。長野のシュタルフ前監督の後任はS級同期の高木監督で、研修中での相互理解はある程度あっただろうし、ysccの星川前監督から引き継いだ倉貫監督も似たスタイルの監督で、極端ともいえる繋ぎの形を変える事はしなかった。

中三川監督はフォーメーションもコンセプトも変え、残り11試合で勝ち点10の差をひっくり返してのJ2昇格という極めて難しいミッションを与えられた。ましてや得失点差が稼ぎづらいサッカーで。とはいえ、こうなる未来がわかっていれば、この夏の補強は理に適っているとは言える。

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エリア間パス図ヒートマップ - 甲斐 健太郎

岩手は5-4-1に変更し、yscc戦の前線からのアグレッシブな守備からブロックを低めに作ってまずは守備を固めるという形に変更した。宮崎さんはゴールキックの際、CBがPA内に入って繋いでいく形が基本だが、そこを捕まえにいくという形を取ったのは8分の1回のみ。早々にリードした事もあり、構えて待つという形になっていったがそれが今後の守備戦型になるだろう。

攻撃に関しては、ボールを奪ってから縦に速くというのがより最優先になったというのが印象で、準備期間の関係もあるだろうが、そこから先は今までの狙いを持った崩しというよりは個人の閃きでという形だった。またビルドアップ時は3枚になるのだが、中央の甲斐選手が少し左に開き、脇のCBが外に開きボランチの藤村選手が下りて4-1の形になる事が時折あった。これは少ない準備期間の中で用意したものと思われるが、わざわざ宮崎さんの2トップにハマる形を見逃してもらえるはずもなく、39分には1ボランチの状態の弓削選手へのパスをカットされカウンターを受ける場面があった。後半はそのようなビルドアップはほぼ見られなくなった。

試合後西選手が自身のchで「キツかった」と試合を表現したように、縦への速い攻撃一辺倒だけでは早く疲弊してしまうので、そこの塩梅をどう取るか。5枚の交代選手で体力を補うというのも対処方ではあるが、当初はCBがおらずFW2枚という選択。勝利の為に点を取れなかった時の2トップのオプションを用意していたのかもしれない。言い方は大変申し訳なくなるが、もし深川選手がいない状況でああいうアクシデントが起きていたら、勝利を得る事ができていたのだろうか。

この試合では松原選手をシャドーで起用したが、今年4バックをベースに編成したチームの中で攻撃の枚数を1枚削るという方向性にシフトしたわけで、今後どうキャスティングしていくか。フィールドプレイヤーを6人しか入れられないJリーグなので、よりポリバレントな選手がキャストに入る形になっていくのか、それとも能力の高い選手にポジション毎のタスクを担ってもらうのか、いずれにせよ即興性が高まっていく事になるだろう。

基本スタッツゴール期待値

宮崎さんにとっては9月勝ちなし、6試合連続得点なしという厳しい状況になってしまったが、今週に関しては運が回ってこなかったという事もある。準備期間は1日多かったものの監督交代により事前準備はほぼ意味をなさず、DF眞鍋選手の出場停止の他に今シーズン全試合スタメンのMF10番下澤選手の不在。

その上ファーストプレーで和田選手のサイドチェンジのボールの軌道を見て、外に出ると判断しスピードを落とした宮市選手の前で弾んだボールがいきなり失速しチャンスを演出したように、9月にしては暑い気温と9月らしい乾燥の影響で水を撒いたはずのピッチでボールがうまく転がらず、ただでさえ難しい5-4ブロックの攻略をより厳しくさせるものとなった。

試合を通してどこでポイントを作るかという狙いは共有できていたとは思うが、最後に点を奪うという所のクオリティをどう上げていくか。スタメンを変えてみたり、後半途中で永田選手を右サイドから中央でのプレーに変更したが、個人でなのか、ユニットとしてなのか、これは両チームに言える事だが、キメきれるかどうかで物事の流れは変わっていく。