こんにちは、ユースケ@サガン鳥栖です。

なんと開幕3連勝&無失点です!PKを取られたときには「無失点はいつか途切れるからね。まあまあ、勝てば良いのよ」と思ってましたがまさかのポスト。無失点継続です。

相手のボールの軌道が予測できなかったと思うのでハンドはしょうが無いですが、林くん今度からはペナの中で守備するときは腕あんなに広げちゃダメよ笑

さて早速レビューにいきましょう!

まずは両チームスタメンです。

フォーメーション図フォーメーション図

鳥栖は前節浦和戦と全く同じメンバーです。仙台は前節から5人代えてきました。関口はケガで欠場ですが、守りの要シマオマテが出場停止から戻ってきました。

■前半5分浦和戦でも見せた鳥栖のゲームモデルが早速発揮されている

前半5分、いきなり先制点が生まれます。

画像は得点シーンの直前の攻撃です。見てもらうとわかると通り、もうすでに浦和戦と同じです。仙頭が降りてきて小屋松がその仙頭がいた中央のスペースへ侵入。空いたサイドのスペースに中野が上がり高い位置をとる。

仙頭⇒ソッコと繋いで右サイドフリーで待っていた飯野へ送ります。樋口、山下、林、小屋松の4人が仙台の4-4ブロックの間を狙い、中央に入っていくことで相手4バックが中央に寄らざるを得ない状況を作りました。これで飯野はフリーでクロスを上げれるわけですね。

で、流れたボールを大外の中野が拾います。ここでもう6人絡んでます。2-2-6の形です。両サイドが高い位置を取るので飯野のクロスを逆サイドの中野が拾えるわけです。浦和戦で押し込んだ形が再現されていますね。

この後の2次攻撃のこぼれをエドゥアルドが拾って林に縦パス⇒山下ゴールという流れでした。仙台からすれば、試合が始まったばかりでポジショニングなど微調整する前に一気に攻め切られてしまった印象です。浦和と同じような4-4-2ブロックだと同じ事が起こるよってツイートしてましたが早速再現されましたね。今の鳥栖のサッカーは本当に再現性が高いです。

■前線に人数をかけ攻め切ることでカウンターを防止している。

浦和戦でカウンターを結構受けたからかはわかりませんが、そこはかなり意識して修正してる気がしましたね。先ほどの2-2-6の話に戻りますが、両サイドを高くすることでクロスが流れたときもマイボールにできるので、まずひとつここを起点としたカウンターを防げます。

そしてもう一つ。サイドに展開して中野や飯野がボールを持った時に、すぐクロスが上げられる状態にないなどで詰まっちゃったときには、必ず自分で縦に仕掛けていました。「最低でもコーナーを取ってやろう」みたいな感じです。あれだけ高い位置を取るので後ろには広大なスペースがあります。自分のところでボールを奪われるわけにはいきませんからね。

これはリードが広がるまではかなり徹底してるなと思いました。特に飯野の右サイドは浦和戦同様、味方の人数が少なくリスクも大きいので彼の判断は超重要です。いい仕事してます。実際、前半23分に飯野の縦の突破によって得たCKで2点目を奪っていますから攻守において重要な存在ですね。

時折、仙台がカウンターになりそうな場面がありましたが、1人がカウンターで飛び出せても後ろから全く選手がサポートに上がってきません。それもそのはず。鳥栖が前線に人数をかけて押し込んでいるので、仙台は前に出る距離が長くなり時間がかかります。で、上がりを待ってるうちに鳥栖の選手もしっかり戻ってきてカウンターは終了。前線に人数をかけて最後まで攻め切ることで様々な局面でカウンター対策として機能するわけです。

ただしこれ、ディフェンス陣みんな足が速くないと成立しません。CBのエドゥアルドとソッコはカウンターを受けたときの広大なスペースのカバーと1対1でぶっちぎられないスピード。サイドの中野と飯野は縦に突破するため&もし奪われたときに戻るスピード。現時点ではこの4人が揃ってないと機能させるのは中々難しい気がします。

■GKをビルドアップに組み込み前線の人数をキープ

前半途中から鳥栖のビルドアップに対し仙台が3枚でプレスに来るようになりました。20番のマルティノスが中央よりにポジションを移す形です。これに対し鳥栖は、それまでは2CB+松岡(または仙頭)で回してましたが、GKのパギをビルドアップに組み込む形を選択し前線の人数をキープします。狙うはマルティノスがいたサイド。

画像は3点目直前のシーンです。見てもらうとわかると思いますが、マルティノスが中央に寄ったことで四角で囲った部分に2対1の状況が発生しています。ビルドアップの人数を増やすのに例えば中野を降ろして参加させていたら、この局面はこうはなりません。相手の3人のプレスに対し2CB+松岡+GKの4人で回すことで、数的優位を保ちつつ中野に今まで通り高い位置を取らせ続けられるわけですね。

で、得点のシーン。パギが中野にフィード、小屋松についていた25番の真瀬が慌てて中野にプレッシャーをかけに行きます。ここで真瀬からフリーになった小屋松が縦に走り込みます。その動きをみて中野がダイレクトで小屋松へ。そこから小屋松が自分でドリブルで持ち込む⇒林が斜めに走ってコースを開ける⇒小屋松シュートの流れで3点目が生まれました。

かなりきれいな流れでのゴールでしたね。パギのフィードも素晴らしかったし、ダイレクトで出した中野の判断と技術も光りました。今後、相手が3枚でプレスしてきたときは選択肢の一つとしてパギがビルドアップに加わる形が見れるかもしれませんね。

■後半の仙台のシステム変更をものともしない今の鳥栖の強さ

仙台は後半から3-4-3(3-4-2-1)にシステム変更してきました。攻撃時にはWBを両ワイドに配置し幅を取ることで鳥栖の選手間の距離を分散させてプレスの効果を弱くする狙いがあったと思います。

前半鳥栖は仙台の2CBに対して2トップは追い込むだけで浦和戦程強く行かず、SBにボールが入った時にスイッチを入れてサイドに蓋をして押し返していました。それに対し仙台は後半から3バックに変更して鳥栖のプレスに対し数的優位を作ってサイドに起点を作ろうとしたわけですね。

実際、仙台のビルドアップに幅がでたので鳥栖のプレスは移動距離が長くなって圧力が弱まりましたね。要所要所ではサイドをしっかり経由して前まで運ばれてしまう場面もありました。ただこの時は鳥栖も小屋松が降りて5枚にしてるので大きな問題を引き起こす程ではありませんでした。

お次は、仙台側守備時の狙いです。両WBが下がり5枚用意して一人当たりが受け持つゾーンを少なくし、ブロック間に侵入してくる鳥栖の選手に対ししっかり捕まえようとする狙いがあったと思います。

ただこの守備面での修正はあんまり効果がありませんでしたね。鳥栖は相変わらず両サイドが高い位置を取り5人ないし6人が前線で幅を取るので、仙台としては結局ボランチを含めたマークの受け渡しやスライドを上手くやらないと捕まえきれません。

それが良くわかるのが鳥栖の4点目。

※DAZNの見え方と同じにするため、後半なので攻撃方向を逆にしています。←が鳥栖の攻撃方向です。

パギのゴールキックで左にフィード。山下が競り勝ちボールをキープ。そこから一度CBを経由して右の飯野に展開。この時点ですでに仙台は左右に揺さぶられてます。

で、画像のように右の飯野から松岡⇒小屋松⇒中野と左へ素早く展開。仙台はスライドで対応しきれてないし、マルティノスもプレスバックしてこないので小屋松も中野も完全にフリー。その中野から逆サイドの樋口までダイレクトでクロス。樋口ゴールという流れでした。

相手の4番左WBの蜂須賀が一度鳥栖が右サイドに展開したときに飯野に食いついて高い位置まで出ちゃってるのと、中野が時間をかけずダイレクトでクロスを上げたため、樋口がいる所まで戻り切れずフリーにしてしまってます。仙台はせっかく後半から5枚用意してたのに鳥栖の左右の展開力で揺さぶられ、最後は結局4枚しか残っておらずスペースを埋めきれませんでした。このシーン、鳥栖の左右の揺さぶりのスピードが速くスムーズなので、スライドも間に合ってないし中盤なんかは全く人を捕まえきれてません。

こんな感じで、今のサガン鳥栖には対策を取られてもそれをものともしない強さがありますね。監督がかなりシーン別に準備して「こう来たらこう」みたいなのがかなりの数あるんじゃないでしょうか?それくらい相手の変化に対する対応が早いです。

仙台としては結局後ろの人数が増えて重くなっただけでしたね。これなら湘南のように最初から後半の布陣みたいに5バック気味にした方が競ったゲームにできた可能性があったんじゃないでしょうか?あと、マルティノスはあんまり守備させなくて済むCFで使った方が持ち味が出るんじゃないかなと。「去年のウチのチアゴと一緒」といえば鳥栖サポならその理由が何となくイメージできるかと思います

テグさんどう仕掛けてくる?なんて試合前にツイートしましたが、正直何の対策も見えませんでした。こう言っちゃ申し訳ないですが、前半早々、浦和戦を再現した鳥栖に何の抵抗もできずあっさり先制を許したという印象です。

最後5点目に関しては仙台が前に出てきたことによるカウンターなので特に考察する事はありません。風智、酒井は途中投入でフレッシュだったのでスピードのある良いカウンターでしたね。

【まとめ】今のスタメンなら正直かなり強い。課題はサブ組の底上げ。

いかがでしたでしょうか?

こうやって考察してみると今のスタメンがゲームモデルとしっかりリンクし全て理にかなってる気がしますよね。明輝監督がかなり周到に準備してきたんだと思います。今のサガン鳥栖はその状況次第でいくらでも変化していくので、わかってても止められないですもん。

ただ浦和戦のレビューにも書きましたが、現時点ではメンバーが変わるとここまでの強さは出せないと思います。スタメンと控えで結構差がついてしまっていると思うので、誰が出ても同じクオリティを出せるようにトレーニングで底上げしていくことが重要ですね。

今のベスメンのサガン鳥栖に勝つには、圧倒的な個で1対1を剥がしまくるか、割り切って蹴って鳥栖を上回るフィジカルでゴリゴリ行くかどっちかしかないんじゃないかなぁ。個人的には川崎、横浜FM、名古屋、鹿島、神戸、札幌あたりは苦戦しそうだなと思ってます。

それではまた。