どうも、さかりーにょです。

2022シーズンは12年ぶりのJ1の舞台では残留争いに競り勝ち、J1参入PO決定戦出場への権利を獲得した。選手、スタッフ、サポーターにとって非常に大きな影響を及ぼすJ1参入PO決定戦において京都サンガF.C.の勝率はどれくらいになるのだろうか?

今回は、来シーズンを占うJ1参入PO決定戦に向けた曺貴裁監督率いる京都サンガF.C.が採用する戦術を2022年J1リーグ最終節のジュビロ磐田戦を基に徹底分析していく。

J1 第34節 ジュビロ磐田 vs 京都サンガF.C.

スタメン

スタッツ

システム組み合わせ図

京都サンガF.C.の4-1-2-3がジュビロ磐田の3-4-2-1とかみ合わせた際、構造上フリーになる『優位ポジション』はチーム内で『ホールディングセブン』という共通言語で認識されている24番川崎楓太選手である。

このポジションには、

①ボールを受けることを怖がらない

②受けたらできるだけ前に運ぶ

という2つのミッションが曹貴裁監督から課されている。


曺貴裁式京都サンガF.C.の基本戦術

ディフェンスラインを高く設定し、前から激しく守備をしかけてショートカウンターに繋げる

攻撃時には「ボールを下げずにゴールに向かう」をテーマに、ゴールに向かう選択肢を増やすために「前に人を多くできるような配置を落とし込んでいる。

そして、「90分通して相手を上回れる部分を出し続ける」ことをミッションとしてゲームをデザインしていく。

【4局面戦術分析】局面➀:攻撃分析

京都サンガF.C.の攻撃原則は「ボールを下げずにゴールに向かう」であり、これを実現するためにボールより前に多くの人数を割くことができるようにデザインされていることが特徴である。

京都サンガF.Cの攻撃パターンは大きく次の3つである。

①:最終ラインからCFにロングボールを蹴り込み2列目が連動する

この試合においては、リスク回避の狙いもあり最終ラインからシンプルにターゲットである山崎凌吾選手にロングボールを蹴り込み、二列目が関わって二次攻撃を目指すシーンが多く見受けられた。

②:中盤でオーバーロードを形成し、CFへの楔をスイッチにした中央突破

システム組み合わせ図で示したように、噛み合わせ上優位になる24番川崎楓太選手を活かせるように最終ラインからIHへ縦パスを差し込み、レイオフされたボールを川崎楓太選手が前向きでボールを運ぶというシーンが多く見受けられた。

川崎楓太選手がボールを持つと、京都サンガF.C.の選手たちは意図的に中央に密集し、オーバーロードを形成して中央突破を図っていた。

➂:両SBのオーバーラップからのクロス

右SBの14番白井康介選手と左SB17番荻原拓也選手は90分を通して豊富な運動量を武器にサイドレーンで主導権を握ることができる。

実際の両SBの走行距離とヒートマップは以下の通り。

左SB17番荻原拓也選手


右SB14番白井康介選手


また、共通して『縦への突破』と『切り返して逆脚でクロス』を上げることができることも大きな特徴である。

【4局面戦術分析】局面②:ネガトラ(ボールを失った時)

『即時奪回』をテーマに掲げ、ショートカウンターに繋げることを目的とした通称『サンガプレス』を発動する。ボールに一番近い選手がすさまじい強度で次々と襲い掛かるそのプレスの完成度は芸術的である。


また『サンガプレス』の発動は非常に高いライン設定を必要条件とする。このために、プレスがしっかりかかっていない時にラインを高く上げすぎてしまい、1本のロングボールで最終ラインの背後をとられるシーンも多い。このリスクを回避するために守備範囲の広い上福元直人選手をGKに配置しているが依然としてこの課題の修正は急務であると分析。

【4局面戦術分析】局面➂:守備

守備局面は先ほどのサンガプレスとリトリートの2つに大別することができる。

サンガプレスに関しては前筆しているので今回はリトリートのブロック守備を分析していく。

【京都サンガF.Cのリトリート時システム4-4-2】

京都サンガF.Cは押し込まれる展開になると4-4-2の3ラインを形成し、ゴール前にブロックを形成する。

選手間の距離やラインコントロールをチーム内で「コマンド」と呼ばれ周囲に的確な指示を出すことがタスクとして課されているCBが調節する。

【4局面戦術分析】局面④:ポジトラ(ボールを奪った時)

以下のジュビロ磐田のボールロスト図が示す通り、サンガプレスを戦術の軸に置く京都サンガF.Cはボールを高い位置で奪い切ることができるシーンが多い。

前向きでボールを奪うことができるために、ポジトラ時にはショートカウンターを仕掛けて直線的にゴールに迫る。

また、ボールを奪う位置が低い場合にはDFラインの背後、CFへの楔、斜めのパス、横パス、バックパスという優先順位に沿ってポジトラを敢行する。

さかりーにょeyes

J1参入PO決定戦に臨む京都サンガF.C.。ロアッソ熊本との大一番において勝敗を分ける一番のカギは、

サンガプレスをロアッソ熊本の細かなパスワークに対して的確にはめることができるかどうか?

にかかっている。

特に、相手を観て可変ビルドアップを仕掛けてくる熊本に対して、サンガプレスがどこまで対応できるかが肝になるだろう。

非常に見どころが多い一戦となることは間違いない。

J1参入PO決定戦の対戦相手であるロアッソ熊本の戦術分析記事はこちらから!




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