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前節はホームで柏に1-0 で勝利し、失いかけたチームとしての自信も取り戻して良い流れを継続したい鹿島。

神戸はACL の兼ね合いで既に5 戦消化しているが、3 分2 敗と苦しいシーズンスタートとなっている。さらに前線の主力が負傷離脱している状況。

鹿島としては近年苦手としている相手に勝ち点3 を取りこぼせない一戦となった。

前節までの対戦成績


メンバー

フォーメーション図フォーメーション図

CB はJ1 第2 節とルヴァンカップグループステージ第2 節での良くない流れから前節をクリーンシートで凌いだ関川(ルヴァンカップは不出場)・キム ミンテではなく、三竿と今期初出場のブエノのコンビとなった。ブエノはコンディション面の問題かキャンプから少し出遅れているようだったが、シーズン序盤に間に合ったことは朗報。本人としても巻き返しを図りたいところであり、チームとしてもCB の層の薄さが懸念されるだけに計算の立つ選手としての立ち位置を確保してほしいところ。


所感

スタッツではボール支配率とパス成功数が特に目立つ結果となった。鹿島はこの試合でもマイボール時にボールポゼッションを志向することは特になく、相手ボール時には危険なパス・侵入をさせない守備をチーム全体で敷いていたため、神戸が攻めあぐねた結果としての支配率と思われる。パス成功数の差は、神戸が後ろ目で攻撃の突破口を探せずにいたことを表しているように思う。後述のパスソナーを見ても、神戸は最終ラインのパス数が鹿島のそれと比較して2-3 倍となっており、ビルドアップからなかなか前に進めなかった様子がわかる。

基本スタッツゴール期待値

神戸を思うようにプレーさせないチーム全体の守備を90 分間ほぼ集中して継続できたことは、神戸側のゴール期待値にも表れている。終盤ではさすがに疲労度もあったのか、全体がずるずる下がるシーンが何度か見られたり、ゴール前に縦パスを入れ込まれるなど、危ないシーンも何度か作られてしまっていた。70 分頃のイニエスタからのパスを酒井がミートできなかった場面はその典型だった。シュートがミートしたとしてもGK 守備範囲に飛んでくる確率が高い角度ではあったと思うが、ゴール前でビッグチャンスを作られてしまう守備となったことが問題だといえる。チーム全体の強度・集中力・走力が不可欠となる守備を夏場やシーズン終盤の苦しい時期にどれだけ保つことができるかは今シーズンの結果に大きく影響する非常に重要なポイントとなる。


鹿島のこの試合の守備で特徴的だったのは、昨年に相馬監督が率いていたときのようにフィールドを縦に2 分割したボールサイドにチーム全体を圧縮した守り方を敷いていたことと、前節同様に相手アンカーを自由にさせないことを徹底していたことだった。

アンカーの扇原は55 分にサンペールに交代するまで攻撃時に狙いたいプレーがほぼできていなかったのではないか。システムも戦い方も違うので単純な比較はできないが、扇原とピトゥカは対象的なパスソナーとなった。

パスソナー・パスネットワークパスソナー・パスネットワーク


鹿島の攻撃の狙いは、神戸のビルドアップに対し相手陣内から積極的にプレスをかけてボールを奪うところ、あるいは攻->守の局面での即時奪回から手数少なくゴール前に迫るところにあったようだ。マイボールでのビルドアップも後ろからつなぐよりもロングボールを前線に入れる狙いが強かった。

ショートパスで前進を狙う神戸と手数少なく縦に早い攻撃を志向する鹿島の違いはエリア間パス図にもはっきりと見てとれる。

エリア間パス図エリア間パス図

7 分にはコーナーキックの流れからブエノ・三竿のCB コンビが空中戦を競り勝って先制点を得る。このコーナーキックも神戸のビルドアップを連動した守備で奪って縦に早い展開で上田が強烈なミドルシュートを放って得たものであった。

54 分には鈴木が強烈なミドルシュートで貴重な追加点を奪う。得点に至る流れは、攻->守の局面でハーフウェイライン付近でボールを奪回し、土居から最前線の上田にロングパス、こぼれ球を鈴木が迷わず振り抜いた縦に早い攻撃であった。チームとしての即時奪回の意識、土居が見せた縦に早い選択、それを可能とした上田の素晴らしい動き出しを鈴木が見事に結実させた素晴らしい得点シーンとなった。


終盤、71 分に鈴木に代えて染野、荒木に代えて仲間、83 分に土居に代えて和泉、上田に代えてファン アラーノのメンバー交代を行う。走行距離・スプリント回数を見ると先に述べたように先発メンバーの多くが非常に走力を使ってチームとして戦ったことがわかり、交代で入ったメンバーも90 分換算すると非常にハードワークしたことがわかる。試合開始から強度の高い守備・早いスライドを継続して神戸の攻撃の芽を摘んでいただけに、終盤には消耗からか少しトーンダウンしそうだったところを交代出場選手で再度締め直したといえる内容だった。

まさにチーム一丸となって厳しく戦って得た素晴らしい勝利だと思う。

走行距離・スプリント回数走行距離・スプリント回数

さらに最終盤には、神戸が交代出場の槙野とCB の佐々木を前線に上げるパワープレーを行なってきたため、RSB の常本を加えた3 バックにして対応。試合終了までチーム全体で状況に応じた対応ができ、無失点で試合を終えることができたことは非常に良い結果だった。


この日の夜にレネ・ヴァイラー監督が来日し、3/15(火) のルヴァンカップグループステージ第1 節延期分のアウェイ大分戦はヴァイラー監督が指揮を取ることとなったため、岩政コーチの指揮はこれで最後となる。ヴァイラー監督の初采配となる大分戦は、先に行われた第2 節でC 大阪に敗戦しているだけに、グループステージ序盤とはいえ重要な試合となる。どのようなメンバーでどのような戦いとなるのか。J1 リーグの次節・ホーム湘南戦も合わせて非常に楽しみな状況である。


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データ

公式試合レポート

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