来期の形づくりへの不安


柏は3節連続で同じスタメンとシステムで臨んだ。相手が同じ4-4-2の福岡だったこともあるが、ここ数試合はメンバーとシステムを固定している。相手へのアプローチの強さと運動量は変わらず求められるが、よりボールを動かせる選手、よりボールを引きだせる選手がスタメンに名を連ねている。


フォーメーション図基本スタッツ

特にボランチは低い位置ではCBの間に入りボールを出し入れし、高い位置では同サイドのCB、SBと左右に確実にボール展開する役目が求められた。フル出場したドッジと三原は、この試合の出場選手の中でも高いパス成功数を記録し、ここ数試合で目指している中盤でのつなぐ意図を数値であらわした。

パスソナー・パスネットワークとエリア間パス図を33節の浦和戦と比較してもCBとのボールの出し入れやフィールドを左右に深くまで使ったパス交換に違いが出ていることがわかる。

<36節・福岡△0-0>

パスソナー・パスネットワークエリア間パス図

<33節・浦和●1-5>

パスソナー・パスネットワークエリア間パス図



攻撃スタッツ - ドッジ攻撃スタッツ - 三原 雅俊


守備陣はフアンマの高さ、ジョンマリの裏への動き出しに古賀、高橋のCBが対応し無失点に抑えることに貢献した。またアウェイでの対戦では失点につながったセットプレーも全員で跳ね返しドロー決着となった。

2021 J1第13節 福岡 1-0 柏 レビュー

守備の奮闘の反面、攻撃のチャンスを生み出す仕掛けはあと一歩だった。武藤、仲間、クリティアーノ、マテウスサヴィオはスペースに流れてボールを引き出す動きはできたいた。しかしエリア内でのボールタッチ数は4選手をあわせてもフアンマとジョンマリの2選手より少なく(柏4選手で8回に対し福岡2選手で11回)ゴールの可能性が高くなる位置でボールが受けられていないことをあらわしている。


<柏・4選手ボールタッチ位置>

ヒートマップ - クリスティアーノヒートマップ - 武藤 雄樹

ヒートマップ - マテウス サヴィオヒートマップ - 仲間 隼斗


<福岡・2選手ボールタッチ位置>

ヒートマップ - フアンマ デルガドヒートマップ - ジョン マリ


その課題はここ数試合の結果にも出ており、ここ5試合で勝利した2試合の得点者はサイドバックの三丸と大南だった。一番大外に位置するサイドバックがフリーになり得点する形は決して悪くはない(実際両選手のゴールは素晴らしいものだった)が、前線の選手のゴールへの形が見えてこないと来期の浮上は今期と同様に難しいものになるだろう。


過去のJ1リーグ中断期間『上がるチーム』『下がるチーム』