1、前置き


 J2首位でありJ2最多得点の矛の磐田に対して、通用した部分と通用しなかった部分。29節終了時点でのJ2最少失点タイの盾の岡山とのチームスタイルの違いと、攻守での攻防にデータでフォーカスを当てる事で、1-1に終わったアウェイ磐田戦をデータで感覚とデータの関連性について、深く見ていく事で、この試合を振り返りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


2、試合メンバー


フォーメーション図

フォーメーション図(磐田)


リザーブ

GK:1八田 直輝

DF:22中川 創、39高野 遼

MF:2今野 泰幸、14松本 昌也、40金子 翔太

FW:29ファビアン・ゴンザレス

途中交代

4大津 祐樹→40金子 翔太(63分)、17鈴木 雄斗→14松本 翔哉(63分)、5小川 大貴→39高野 遼(85分)、8大森 晃太郎→29ファビアン・ゴンザレス(88分)

メンバーのポイント

 前線の1トップでエースストライカーの11ルキアンを頂点に、中盤の攻撃を司る日本屈指のゲームメーカーである50遠藤 保仁、DFラインの頼るDFリーダーのCB3大井 健太郎、GKで抜群の安定感を誇る36三浦 龍輝を軸が、しっかりしている事で、安定感のある磐田の布陣。

フォーメーション図

フォーメーション図(岡山)


リザーブ

GK:13金山 隼樹

DF:4濱田 水輝、8田中 裕介

MF:41徳元 悠平、27木村 太哉

FW:18齊藤 和樹、9李 勇載

途中交代

48石毛 秀樹→9李 勇載(64分)、26パウリーニョ→27木村 太哉(81分)、11宮崎 智彦→41徳元 悠平(87分)、19ミッチェル・デューク→4濱田 水輝(87分)、16河野 諒祐→8田中 裕介(87分)

メンバーのポイント

 リザーブを含めて、ベストメンバーと言っても差し支えないメンバーが初めて揃った試合。メンバーが、やや固定出来ている部分もあり、チーム成熟度も含めて、安定感が増して来た。19ミッチェル・デュークと9李 勇載のダブルエースとも言える強力2トップが、共存する時間があるのかという点と、初スタメンの48石毛 秀樹のプレーには、注目が集まった。


3、磐田のパスの図から見える攻撃の形


パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク(磐田)

「この図のポイント」

 50遠藤 保仁にパスを集めて、状況に応じてパスを巧く使い分ける事ができている。同じボランチの23山本 康裕との状況を良くするパス交換もあったが、基本的には、攻撃を進展することができる効果的な位置に、ポジションを取っている選手へのパスを選択する傾向にあった。

 両WBの17鈴木 雄斗と、5小川 大貴への長短のパスでのサイド攻撃を選択する事もあれば、チャンスメークにもフィニッシャにも成れる8大森 晃太郎を選び、攻撃の選択肢を増やす事もあれば、仕掛ける力のある4大津 祐樹で、局面の打開を意図する事もあれば、11ルキアンに出す事で、ペナルティエリアでの決定的な仕事を狙う形もある。

 また、50遠藤 保仁のバックパスはほぼなく、磐田としては、GK、DF、WBに23山本 康裕を含めた、後方にポジションを取る事が多い選手が、如何に50遠藤 保仁まで、運ぶかというのが、この試合のテーマの1つであった。そこを巡る攻防は激しく、その先に通ってしまえば、磐田は何らかの攻撃にアクションに移せるシーンが多かったので、1つのポイントとなっていた。


4、岡山のパスの図から見える攻撃の形


パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク(岡山)

「この図のポイント」

 まず、着目したいのが、DFラインのパス数が少ないという点である。磐田以外のチームは、DFに対して、パスコースを切るポジショニングや、厳しく寄せてくることで、ここでのビルトアップを制限する傾向にあったため、前へのパスコースを探るために、細かいパス交換繰り返す傾向にあったが、この試合での磐田は少なかった。そのため31梅田 透吾が、最終ラインでのパス回しに加わる回数も少なく、失点したシーン以外は、比較的余裕を持ってボールを前に運ぶ事ができたのが、この試合の岡山である。

 また、両SBの11宮崎 智彦は、アリークロスや前へのパスを意識したパスでの崩しを意識した一方で、16河野 諒祐は、深い位置に侵入するために、パス&ゴーを繰り返すために、後ろに出して、スペースに飛び出すというプレーを繰り返しているために、このパス方向になっている。

 そして、中盤に入ってからも磐田の守備対応は、囲い込むというものではなく、個での守備でのアプローチであったために、ここでも比較的容易に前線の選手へ、通す事もできた。そのため少なくなりがちである19ミッチェル・デュークと14上門 知樹へもパスは通る事は多く、比較的ボールに触る機会というのは、多かった。

 ただ、得点がセットプレーの流れからのオウンゴールのみという結果を見ても、FWに入ってからの磐田の個の対応力というのは、群を抜いてよく、運べてもなかなか攻撃の形を作らせてもらえなかった。この辺り、磐田の攻撃時の個の力に目が行きがちではあるが、守備時の個の力の高さも感じるデータでもある。


5、時間帯別に見る磐田


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(磐田)

「この図のポイント」

 まず、着目したいのが、3大井 健太郎が、基本的に後方の最後尾で、どっしり構えているという点である。磐田にとって、ゴールに近い距離での脅威は、19ミッチェル・デュークであったが、3大井 健太郎を中心にしっかり抑え込めたことで、左右のCBも守備に追われるという展開にならず、ある程度攻撃に力を割く事ができた。

 しかし、9李 勇載と19ミッチェル・デュークが2トップになると、DFラインに迫って来る圧力が、14上門 知樹と19ミッチェル・デュークの組み合わせに比べて高まった。14上門 知樹は、基本的にDFとMFの間のスペースでのプレーを好み、そこからのミドルシュートやスルーパスで、ゴールを狙う傾向にあるが、9李 勇載は、ラインに対してフィジカルを前面に出したパワーを活かしてラインブレークを狙うことでで、DFに圧力を与える事ができる選手である。

 そのため基本的には、9李 勇載に対しては、3大井 健太郎が対応する事が多くなった。対して、19ミッチェル・デュークは、磐田の図から見て、38山本 義道の右CBの前のスペースがゴールに向かって、ドリブルで迫って来る傾向にあった。流石にその後方にも14上門 知樹が控えているという事もあって、38山本 義道の守備の対応が増えたという事で、3大井 健太郎より僅かに低い位置まで、押し込まれる事になった。

 この時間帯を凌ぐと、19ミッチェル・デュークが下がり27木村 太哉に代わり14上門 知樹が岡山から見て、右SHに回った事、加えて3バックになった事で、磐田の右CBが盛り返す事に成功した。磐田側からすれば、9李 勇載と19ミッチェル・デュークが、脅威であった事を感じるポジショニングとなっている。


 次に注目したいのが、50遠藤 保仁と23山本 康裕の関係性である。90分間で見るとほぼ50遠藤 保仁が前で、23山本 康裕が、後方という縦の関係となっている。23山本 康裕が、前でプレーできた時間帯もあるが、基本的には、50遠藤 保仁が中央のセンターサークル付近でプレーしており、表記で役割を表すれば、23山本 康裕は、ほぼDHと言っても差し支えない。

 個の力を考えれば、CHとしても十分やれるが、50遠藤 保仁の方が、CHに近く、パスの選択を見ると、OHとも言える役割を果たしている。ボランチには、守備を求める傾向にあるが、50遠藤 保仁の守備の負担を下げて、攻撃にほぼ専念させることで、90分間のプレーする事を可能としている。

 本来であれば、DHである23山本 康裕の守るバイタルエリアが空くと非常に危険ではあるのだが、一定エリアに侵入すると、ボディバランスに優れる19ミッチェル・デュークですら体勢が崩れ、ボールコントロールが乱れる3大井 健太郎を中心とした強靭なDFラインが待機しており、ミドルシュートに対しても、36三浦 龍輝が、スーパーセーブで防ぐことで、守り切る。

 「突破できるなら仕掛けてこい。決めることができるなら打ってこい。」そういった自信に溢れた磐田の圧倒的な個での対応力が、為せるボランチの2人の関係と言える。ただ、J1を考えた時に、この守備スタイルで、どれだけ守って攻める事ができるのか。それは、仮にこのまま磐田が昇格をすることになれば、注目してみてみたい点である。


 この項目で、最後に注目したいのが、チームとしての距離感である。前半の0~45分まで、適度な距離感を保つことができているが、後半は、磐田らしい距離感を維持できていない。先制した30~45分の形が磐田の理想としている形であり、やはり、距離が適度に分散している。もしくは、歪な形をしているという点を見ても、前述した9李 勇載と19ミッチェル・デュークの対応や、セットプレーの連続が、磐田のリズムを崩していたと感じるデータとなっている。

 加えて、後半の30~45分は、首位のチームらしく勝ち点3を目指して、多少前がかりになっていた事を示す距離感となっている。基本的には、19ミッチェル・デュークと9李 勇載が、共存した時間により、苦しんでいるということいは、試合を見ていて方なら分かるが、オウンゴールに繋がったセットプレーというのは、磐田がなかなか断ち切れない時間が、後半は長く、岡山側の闘争が伝わってくるようなシーンに対抗するのではなく、受け止めた事で、結果的に、守備に回る時間帯が長くなってしまった部分は、否定できない。

 ここで割り切って大きいクリアや激しい守備や人数をかけた守備を行うのではなく、攻守共に自分達のスタイルで戦いきる。これは、個の質の高さだけではなく、メンタルの強さを感じる1つであるように感じた。


6、時間帯別に見る岡山


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(岡山)

「この図のポイント」

 まず、着目したいのが、前半の岡山は、距離感を強く意識しているという点にある。前半は、19ミッチェル・デュークや14上門 知樹まで、運ぶという事を1つのテーマとして攻撃となっていたが、この図の様にその先の発展性というか、2トップの連動した形としては、想定よりはあまり作れなかった。

 本来であれば、もう少し間延びする形やSHやSBというのが、深い位置まで侵入し、多少ズレる事もあっても良かったが、近い距離感になった通り、前線までのボールを運ぶ形のスムーズさや、中盤でのボール奪取で形ができたシーン以外は、磐田の連係ミスや、一本のアーリークロスが14上門 知樹に通ったシーンの様に単発に近い磐田からすれば、事故的な決定機に限られた。

 得点出来ればという岡山の方針からすれば狙った形の1つかもしれないが、J2最多得点の磐田の様に安定して得点するには、より攻撃に絡んだ上で、しっかりデザインされた攻撃の手を増やしていく事が、得点力アップに繋がる事は、間違いないだろう。


 もう1つ着目したいのは、バランスの良い攻めの前半から左からの攻撃に特化した後半となった。やはり、正面から攻め手は、なかなか磐田の堅守を破るのは、難しい。9李 勇載を投入し、19ミッチェル・デュークと14上門 知樹からを含めた、仕掛ける選手を揃えた事で、磐田のDFに対して、多少押し返すことができた。

 ただ、この2選手を最大限生かすには、磐田と攻撃の質の部分での大きな差があり、強力な2トップを持ってしても壁を破るまでには至らなかった。最大の決定機をと言える19ミッチェル・デュークのミドルシュートも36三浦 龍輝に阻まれた。

 それでも戦力を集中させることで、磐田に対してもあと少しというシーンを作れたことは、今後のヒントと成り得るポイントである。ただ、磐田の攻撃の質が、ハードワークを必要最低限に抑える事で、より個の質を発揮し易い戦い方で、実現している事を考えると、本当の意味で、追いつくというのは、かなり難しいミッションに感じる。


7、エリア間パス図での対比


エリア間パス図

エリア間パス図(磐田)

「磐田のポイント」

 全体を通して高いパス成功数。多少の違いがあるもののピッチ全体を巧く使ってパスを繋ぐことができている。加えて、サイド深くでも高いパス成功数を誇り、効果的にサイドから崩す事ができている。また、ゴール前へのラストパスやクロスでも高い質により、一定の成功数を記録ことが出来ている事からもチームとしての、パスを繋ぐ力と、ゴール前ででの崩す力の双方を備えている事が分かる。

エリア間パス図

エリア間パス図(岡山)

「岡山のポイント」

 後方でのパス交換が必要性最低限で、前線に運ぶまでのパスも手数少なく運べている。しかし、サイドの深い位置や、ゴール前のラストパスやクロスの成功数は、磐田と比べるとかなり落ちる。一番危険な所への通す力というのは、まだまだ岡山になく、確率の低いミドルシュートが最大の決定機で、唯一の得点もオウンゴールであったのも仕方ないと感じるデータとなっている。


8、ボールロスト位置の対比


ボールロスト位置

ボールロスト位置(磐田)

「磐田のポイント」

 他の図で、一定の中への成功率を示していた中でも、最深部への到達は、磐田でも難しかった。そういった位置になっている。ただ、ラストパスやクロスやシュートというボールロストの確率が非常に多くなるプレーで、ここが、最も濃くなっているという事は、ほぼ攻撃が完結しているといえ、中盤で岡山にボールを奪われている印象もあったが、自陣でのボールロストは少なく、ビルトアップも安定していた事が分かるデータとなっている。

ボールロスト位置

ボールロスト位置(岡山)

「岡山のポイント」

 左SBの11宮崎 智彦と48石毛 秀樹が、抜群の安定感で合った事が分かるボールロスト図となっている。逆に右サイドでは、他の図で、深くになかなか侵入できなかった上に、ボールロストが多かったというデータが示している通り、攻めあぐねていた事が分かるデータとなった。

 また、磐田と比べて、中に入っていくというアクションの所でも磐田の好守に阻まれて、クロスやラストパスが、防がれているとも見えるデータとなっている。

 そして、16河野 諒祐と26パウリーニョ、7白井 永地の右サイドの組み立ての所での、ボールロストが多くなっている所は、気になる所ではある。失点シーンも5井上 黎生人が縦パスを出した後の流れから奪取されてしまっている。

 左サイドの11宮崎 智彦、6喜山 康平、48石毛 秀樹の創造性や安定感に優れる左サイドと比べると、やはり右サイドは、直線的という部分が強く、予測され易い部分も否定できないが、推進力もあるので、この辺りチームとして、良さを消さずにより安定感に繋げる事ができるかどうかが、問われる事になる。


9、存在感を示した選手達


攻撃スタッツ - ルキアン

攻撃スタッツ(11ルキアン)

 これが、J2得点王争いをするエースストライカー。シュート数4本で、枠内も4本で、その内1つはしっかりゴールに繋げている。ペナルティボックスでのプレーが多かったが、脅威のパス成功数も18本中13本という高確率。抜群の存在感と、決定力の高さを発揮した。

攻撃スタッツ - ミッチェル デューク

攻撃スタッツ(19ミッチェル・デューク)

 11ルキアンにも近いスタッツを記録。シュート4本中枠内シュート4本。ただ、9李 勇載が、体を張る位置でプレーしてくれたことで、寄せが分散し、自由が利くようになり、シュートを打ちやすい状況を作る事ができた。また、それに伴いラストパスやクロスも多く記録することができた。9李 勇載との相性は良く、チームとして確かな手応えを掴んだ。

GKスタッツ - 三浦 龍輝

GKスタッツ(36三浦 龍輝)

 両チーム合わせて30本を超える試合で、まさかの1-1というロースコアになった。チームとして、体を張っていた部分もあるが、それでも防げない岡山のミドルシュートの難しい対応も的確なセーブや、僅かに触って軌道を少しだけ変えるビックセーブで、防いだ。シュートセーブ6本もあり、エリア内シュートセーブも3本。岡山のプレスに対して、パスを正確に繋ぐ事で、後方からの安定した組み立てを支えた。

GKスタッツ - 梅田 透吾

GKスタッツ(31梅田 透吾)

 磐田の36三浦 龍輝と同じように、エリア内シュートセーブ3本を記録。シュートセーブは、36三浦 龍輝より2本少ないが、ゴール前に入って来る難しい対応をチームとして迫られた中で、失点したシーン以外は、連動した守備で、1失点に抑える事に貢献した。

攻撃スタッツ - 遠藤 保仁

攻撃スタッツ(50遠藤 保仁)

 両チーム最多のパス数を記録。磐田の正確な攻撃の中心として機能。長短のパスや強弱の判断が光り、そのパスセンスは未だに高いレベルにある。磐田のチームスタイルよって、持ち味を存分に発揮し、長年プレーをしたG大阪時代に負けないぐらい磐田でも、再び輝きを取り戻しつつある。背番号通り50歳でも現役としてプレーしていても不思議ではない。

攻撃スタッツ - 喜山 康平

攻撃スタッツ(6喜山 康平)

 バランス感覚に優れ守備で持ち味を発揮している選手だが、この日は攻撃でも存在感。磐田の中盤の守備が甘いとみるや、そこのポジションに顔を出し、積極的にミドルシュートを狙った。ゴール前での個での守備対応力の前に、シュートブロックに合ったが、ミドルシュートはしっかりミートした上で、軌道は枠内であった。ラストパスも3本も記録し、この試合では、守備だけではなく、攻撃でも高い存在感を示した。

攻撃スタッツ - 小川 大貴

攻撃スタッツ(5小川 大貴)

 マッチアップする事のあった元磐田の11宮崎 智彦との攻防は見応えがあった。攻撃の流れにもしっかり関与した上で、攻撃のアクションであるラストパスやクロスに繋げる事で、存在感を発揮した。

守備スタッツ - 宮崎 智彦

守備スタッツ(11宮崎 智彦)

 主にマッチアップした5小川 大貴だけではなく、4大津 祐樹や、11ルキアン、50遠藤 保仁からのパスによって難しい対応を迫られていたが、元磐田の選手であり、最高のモチベーションで、ハイパフォーマンスを発揮。ボール奪取後もミスなくしっかり繋ぐなど、安定感は抜群であった。得点こそならなかったが、14上門 知樹へのアーリークロスは、絶妙であった。

攻撃スタッツ - 大森 晃太郎

攻撃スタッツ(8大森 晃太郎)

 インテリジェンス溢れるプレーで、ゴールに近いエリアでも多くの攻撃に関与し、攻撃的なアクションを記録。円滑で持続的な磐田の攻撃への今度は大きい。

攻撃スタッツ - 石毛 秀樹

攻撃スタッツ(48石毛 秀樹)

 8大森 晃太郎と似た攻撃スタッツ。パスを引き出すポジショニングやプレースタイルは、近いものがある。岡山の攻撃の精度と回数を高めてくれることへの期待は大きい。

守備スタッツ - 大井 健太郎

守備スタッツ(3大井 健太郎)

 最後の壁として、岡山の前に立ち塞がった。19ミッチェル・デュークを抑えたCBとしての個の力だけではなく、チームをまとめるDFリーダーとしてもチームにはなくてはならない存在。高い守備スタッツも記録したが、判断ミスも若干あったが、幸いにも失点に繋がらなかった。

守備スタッツ - 井上 黎生人

守備スタッツ(5井上 黎生人)

 3大井 健太郎とは、守備のスタイルこそ違うが、DFリーダーとして似たスタッツを記録。機動力と安定したビルトアップで、チームに落ち着きをもたらした。ただ、3大井 健太郎同様に、ちょっとした危険な縦パスから失点に繋がってしまった。


「選手対比のポイント」

 ポジションやチームの布陣や、チームスタイルが違う中ではあるが、似たようなスタッツを記録している選手も有れば、真逆のスタッツになる選手もある。こういった感じに近いポジションや、似たスタッツを記録した選手を並べる事で、見えてくる部分もある。こうしてみると、スコア通り熱戦であったと感じるスタッツであった。


10、試合総括


基本スタッツ

基本スタッツ

ゴール期待値

ゴール期待値

 シュート数でこそ、岡山が大きく上回ったが、ゴール期待値が示す通り接戦であった。お互いのアプローチにより、ゴールに迫ったが、1-1というスコアになった。1試合平均が2得点に迫る得点力のある磐田と、1試合平均1失点以下の平均失点率の岡山が、お互いの良さを出した上で、1-1というスコアで、幕を閉じた事は、確率に収束とも言える結果と言えるかもしれない。

 プレーオフがなく、昇格は絶望的で来季に持ち越しとなった岡山。そういった意味で、引き分けという結果は磐田としては、痛手かもしれないが、岡山としては、価値のある引き分けとなった。上位、特に首位であった磐田への引き分けは、内容と結果から自信を深め、シーズンオフで動向次第とはなるが、来季のJ1へのチャレンジをイメージできるものとなった。

 昇格争いと優勝を目指している磐田には、申し訳ない部分こそあるが、岡山も残留争いに近づいてきており、まずは、残留を確定させたいのも事実であり、この勝ち点を1を次の試合、次のシーズンに繋げる事で、磐田との次の対戦が、どの舞台になるかはまだ分からないが、次戦もよりエキサイティングなものとなる事に期待したい。

 また、京都との試合では、19ミッチェル・デュークが、不在である可能性が高く、ベストメンバーで戦えないのは、残念であるが、彼抜きでもしっかり勝ち点1を最低でも取れる状態に、ここからの試合を重ねて行く中で、高めて行く事で、激闘を演じた磐田へのアシストできるように結果への期待感のあるサッカーを19ミッチェル・デューク抜きで出来るかどうかというのは、今後の試合のテーマとなるだろう。

 それにしても繰り返しになるが、磐田の個を最大限に活かすサッカーというのは、本当に魅力的であり、とても面白かった。こういった素晴らしい試合にしてくれた岡山と磐田の選手・監督・スタッフ、そして両チームのサポーターには、感謝しかない。次対戦する時もよろしくお願いします。良い試合を有難うございました。


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